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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第12話 「時空のたもと」
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 ザ○でも行ってこれるほどに。

「どっちが勝つと思う?」
「帝国に決まっている」
「ふん。所詮新兵だよな〜」
「どういうつもりだ。貴様」

 思わずワルキューレのパイロットの胸倉を掴んだ。

「そりゃ〜イゼルローンは落ちないだろうよ。だけどよ〜損害は帝国の方が多いかも知れねえぜ。それで勝ったって言えるのかよ」
「そ、それは……」

 パイロットの顔が歪む。
 恐怖心だ。こいつもまた、怯えているのだ。怯えているからこそ、このような物言いをする。

「敵の旗艦をよ〜。撃沈してやりたいぜ。そうすりゃ〜やつらも逃げるだろうよ」
「ならば、貴様が行って来い」
「ちっ」

 やつは逃げるように立ち去った。
 その後姿を見ながら、やつの言った言葉を思い返す。
 敵の旗艦を撃沈してやりたい。そうだな。しかしワルキューレの武器では、フィールドに阻まれ、旗艦を撃沈する事などできまい。
 もし……できるのであれば、そうとうな破壊力を持った武器。
 戦艦の主砲のような。もしくは――レーザー水爆を叩き込むぐらいか。

「私の成すべき事か……」

 往けるか? やれるのか、この私に。

「補給が終わりました」

 さきほどのメカニックが声を掛けてくる。
 それに頷きつつ、さっきは悪かった。と返す。強張っていた笑みが緩んだ。
 まだ若いな。私よりも年下だろう。こんな子どもまでが、戦場に出ているのだ。
 覚悟は決まった。

「キルシュバオム隊は、敵旗艦を討つ」
「――中尉」
「ついて来れぬと言うならば、ヴルツェルのところへ行け。やつなら、無下にはしまい」
「自分は付いていきます。自分も辺境の人間ですから」

 ヴェヒター曹長が言った。力強い声だ。

「そうか、我、凶か愚かは知らぬ。ただ一路奔走するのみ。往くぞ」

 ■イゼルローン要塞 アルノルト・フォン・オフレッサー■

 うん?
 MS部隊のなかで一隊だけ、飛び出していく連中がいる。
 何をするつもりだ。

「まさか……いかん、連中を連れ戻せ」

 連中、叛徒どもの群れに飛び込んでいくつもりか?
 まったくどうしようもない奴らだ。貴様らがやらんでも、帝国は勝つ。
 状況は有利に運んでいるのだ。
 見ろ。新しい分艦隊を、その指揮官達を。
 連中はうまくやっている。有能な奴らだ。帝国軍は良い指揮官を得た。
 初陣の兵が無理をせんでもいいのだ。

「ザ○が五機。敵、下方に向かっています」

 オペレーターが悲鳴を上げる。
 司令部にいる誰もが、連中のやろうとしていることが、分かったのだ。

「本気か?」

 ミュッケンベルガー元帥ですら、呆然と口にする。
 そして、

「攻撃を強めろ。叛徒どもがザ○に
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