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銀色の魔法少女
第四十二話 黒
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遼は特別な何かをしたわけではなかった。

 ただ、迫り来るそれらを右手で払いのける、それだけだった。

 遼の右手が触れた瞬間、それは奇妙な音を残して消えた。

 その光景にユーノは目を奪われた。

 反対側から見ていた五人は、何が起こったのか分からなかった。

 いや、転生者である二人には、心当たりがあった。

 すべての魔術、異能、奇跡を問答無用で消し去る右手。

 『とある魔術の禁書目録』の幻想殺し(イマジンブレイカー)

 そう確信したショウは次の術を放つ。

 右手が無効化するのならば、右手では防ぎきれない量の範囲攻撃をすればいい。

 火遁・龍炎放歌の術。

 炎で創られた龍があらゆる方向から遼に襲いかかる。

 右手は一本しかない。

 故に上下左右からくる同時攻撃は避けきれない、そう思っていた。



 しかし、全ては無駄だった。


 遼は迫り来る驚異に対して、何もしなかった。

 何もせず、ただじっとショウを見つめていた。

 そして、すべての龍が遼に喰らいつく。



 喰らいついて、全て消えていった。



 まるで最初から何もなかったかのように、そこには遼しかいない。

 そして、遼も消えた。

 遼が何をしたのか、最初から最後まで認識できたのはショウだけだった。

 遼は誰の目にも止まらない程速く、ショウの元へ移動した。

 そしてそのまま右手を突き出す。

 彼はその赤い目、写輪眼、の恩恵で彼は咄嗟にそれを避けることができた。

 しかし、完全には避けきれず、右肩が切り裂け、凍る。

 ショウは距離を取ろうとして、避雷針の術を発動させる。

 けれど、彼が別の場所に跳ぶことはなかった。

 彼は混乱した。

 体内のチャクラを一切感じなくなっていたからだ。

 そして混乱したまま、最後の一撃をその身に受けた。

 彼女の左腕の一撃は、彼の体のあらゆる部分を破壊した。

 それだけではなく、その衝撃で吹き飛び、ビルを突き抜け次のビルに叩きつけられてようやく止まった。

 誰がどう見ても、瀕死の状態だった。

 けれど、彼女の攻撃は止まない。

 次の一撃を加えんがため、右手に魔力を集中させている。

 それを見て、なのはが動いた。

 彼女は両手を広げ、遼の前に立ちふさがる。

 ダメだと、なのはは遼に叫ぶ。

 その声が通じたのか、遼は動きを止め、腕の魔力も霧散した。

 そして、彼女はそのまま落下した。

 なのはは急いで彼女を受け止める。

 肌の色は元に戻り、傷もある程度ふさがって、彼女は気持ちよさしそうに寝ていた。

 だた、その髪だ
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