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銀色の魔法少女
第四十二話 黒
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side 遼

「ねえ、誰がショウって人を倒したの?」

 私がそう言った途端、皆黙り込む。

 さっき話からして変だった。

 私が気を失ってからここに運び込まれるまでの流れが省かれている。

 聞かされたのは、私を刺した人が倒されたことだけ。

 誰がどうやって倒したのか、誰も口にしない。

 結界が張られたあの場面に介入できる人間は限られている。

 そしてこの髪。

 昨夜は確かに銀色だったし、侵食も50%までしか達していなかったはずだ。

 以上のことを合わせると、一つの仮説が成り立つ。

 そのための揺さぶりだった。

 そして今の反応から、やはりその仮説が事実であると確証できた。

「私がやったの?」




side リンディ

 恐ろしい子。

 こちらが隠していたことをすぐに見破られるなんて思いもしなかった。

(この子は嘱託魔導師よりも執務官や捜査官の方が向いているのかもしれないわね)

 けれどそれはこの子が大人になったらの話。

 今を生きる気がないこの子には関係のない話だ。

「ええ、少しショックなことだったから秘密にしようと思っていたのだけれど、杞憂だったようね」

 そう言って、私はあの時の画像を映し出す。

「これが、あなたが刺された後に起こった出来事よ」




side ALL

 最初に異変に気がついたのは、ユーノだった。

 抱えていた遼が急に動き出した。

 それを止めようとして、彼は気がつく。

 全身が黒く染まり、目の奥は紅く輝き、体には奇妙な文様が刻まれている。 

 彼の豊富な知識から、今遼がどんな状況にいるのかをすぐに理解した。

 遼の危機に反応して、システムが過剰反応しているのだ。

 不完全な侵食を一時的に完成させ、意識のない遼を無理やり動かす。

「――――――――――――――――――――――――――――――――」

 彼女は天に向けて叫んだ。

 それは怒りか悲しみか、それとも生まれでた喜びか、誰にも分からない。

 それは五人の戦いを中断させた。

 なのはたち四人は驚いた。

 あれは確かに人間だったはずだ。

 あの子は優しい子だった。

 アイツはこんなヤバイ奴じゃなかった。

 あの子は決して、こんな化物ではなかった。

 固まる四人に対して、ショウはいち早く行動を開始した。

 素早く印を結び、口から膨大な量の火炎を放つ。

 『NARUTO』の世界の忍術、火遁・豪火滅失の術である。

 本来ならそれは、近くにいたユーノすら燃やし尽くす威力を持っていた。

 けれど、それは呆気なく消えた。

 
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