061185
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11時をちょっと回った時刻 秋陽駅前
檸羽は秋陽駅前のベンチに座りながら、杏が来るのを待っていた。
「杏遅いなぁ〜…」
そんなことを呟きながら檸羽は、携帯の操作をいじっていた。
さっききたメールの二件目がどうしても気になって、再度読み直そうとしたところで杏がこちらに向かってきた。
「れっれううううう!!」
ハァハァと息を荒げながら杏は叫んだ。
杏はどーなってるのこの服、みたいな見た目な服だったがあえてツッコまないようにしといた。
「あんず!どーしたの、今日の集合なんか遅かったよ?」
「いや、服を決めてて…れうとのデートだしぃ?ww」
「あ、あんずうううッ」
「デート」と言われたのが嬉しかったのか、檸羽は久々に杏を抱きしめた。
「うっほぉぉおwwれっれう…ッそろそろいこっ」
「あ、ごめんごめん。行こうか」
二人はいつもの場所へと足を進めていった―――
住宅街の少し離れた場所にある小さな小さな小屋。
そこの扉には、「061185」と赤い色のちょっと黒が混じった感じの色のペンキが殴りかかったように書かれていた。
久々にここに来るので、なんだか緊張する。
杏もなんでここに来ようとしたか分からないけど……
嫌だなぁ…ここに来るの。昔を思い出すみたい。
杏がポシェットのポッケにしまっといたここの扉の鍵を取り出した。
そして、その鍵を扉の鍵穴へとじょじょにいれてゆく。
ガシャンと錆びついた音が響く。
扉が開いた。
「ふぅー…久しぶり。なんだかカビ臭いわぁ…」
最初に口を開いたのは杏だった。
何も警戒しないで、扉の中へと入ってゆく杏。
杏は、部屋の隅にあるあの懐かしいソファの上に腰を掛けた。
そしてだんだんと杏の口が、聞きたくない過去へと話を進める。
「ねぇ、れう…まだれうは…空想のこと忘れてないんでしょう?いいや、忘れられないんだよね?…」
え、どうして今その話をするの…
檸羽はなんて言ったらいいか分からなくて、ずっと杏が何かを言うまで口を開かなかった。
「あぁ、ごめんwこんな話wwいつかはちゃんと話さなきゃなーって…w」
杏の言葉がなんだか信用できない。
「あ…そうなの。いや、うん、大丈夫…」
あぁ…思い出したくない。いつかは忘れようと必死でキミを無視し続けたのに。あはは…しょうがないか…いっそのこと全部全部杏に話してしまおうか…。
私にはまだ、杏に言ってないことがいくつかある。
杏は私が創りだした空想の住人だ。なんで、住人になったのかいまいちよく分かってない。
けれど、住人は住人。根本的なことは杏にもちゃんと話してる。
でも…でも…キミは…杏には教えられない…。
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