戦いの前に
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、一戦ごとに成長するのならば、この戦いは負ける覚悟をしても、彼を始末しなければならない。
そう思い、アレスはコンソールのボタンを叩いた。
+ + +
全体的な戦況が優位に進む中で、ワイドボーンは被害艦艇の情報に目を走らせた。
あの悪辣な後輩が、何かを狙わないわけがない。
だが、それが掴めない。
敵の奇襲を看破し、浮いた奇襲部隊はこちらの背後を突くわけでもなく、遠巻きから攻撃をするに留まっていた。だからこそ、こちらが数で優位に立ち、敵本隊を攻撃しているのだが。
「おい、テイスティア。相手は他に奇襲部隊を残していないのだろうな」
『たぶん。大丈夫だとおもい……ます』
『大丈夫なの、テイスティア』
『ええ。ちょっと攻撃が厳しくて、すみません』
『そう。こちらから少しだけだけど応援を向かわせるわ、耐えられる?』
『すみません、コーネリア先輩』
通信される言葉を聞いて、ワイドボーンは唇を噛んだ。
目を走らせる戦場の様子から、間違いないことを確信して、叫ぶ。
「あの野郎――鬼か」
気づいた事実は、数値から間違いない。
『どうしました、ワイドボーン先輩』
「どうしましたかじゃない。コーネリア、貴様は全力を持ってテイスティアを守れ」
『え、あ。はい』
「狙いは、テイスティアだ。奴はテイスティアを狙ってきている」
『え、えええっ! な、何で!』
「なんでじゃない。貴様が敵だった場合を、奴は考えたんだろう。これからの戦いでさらに成長されたくないから、貴様を先に始末することを考えたんだ」
『お、鬼ですか!』
「だから、そう言っているだろう。コーネリア、さっさとしろっ!」
『しかし、ここを開けると、敵奇襲部隊によって攻め込まれますが』
「そちらはこちらで何とかする。テイスティアを死なすな!」
『りょ、了解しました』
『ああっ、アレス先輩がよく攻勢に使う陣形を取ってます!』
「知ってる。援軍が駆け付けるまで耐えて見せろ!」
本隊が損害を恐れずに左翼に攻勢をかけ始めた。
防戦を行おうとしても、数的優位な上にアレスの繰り返される攻勢に、テイスティアがどれだけ奮闘しても耐えられるはずもない。
次第に削られる部隊に、コーネリアの援軍が到着した。
同時に、コーネリアのあいた場所に奇襲部隊が突入――ワイドボーンが少ない部隊ながらも陣形を広げて、大きな出血を防いだ。
それでも。
『な、何て攻勢なのよっ。あいつ、本当にあんたを殺しに来てるわね!』
『ぼ、僕が何をしたっていうんですかっ!』
テイスティアが絶望の叫びをあげた。
+ + +
「この戦いは何なのよ」
疲れたようにヘッドフォンを外したコーネリアが愚痴交じりに呟いた。
結局
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