暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
戦いの前に
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、一戦ごとに成長するのならば、この戦いは負ける覚悟をしても、彼を始末しなければならない。
 そう思い、アレスはコンソールのボタンを叩いた。

 + + + 

 全体的な戦況が優位に進む中で、ワイドボーンは被害艦艇の情報に目を走らせた。
 あの悪辣な後輩が、何かを狙わないわけがない。
 だが、それが掴めない。

 敵の奇襲を看破し、浮いた奇襲部隊はこちらの背後を突くわけでもなく、遠巻きから攻撃をするに留まっていた。だからこそ、こちらが数で優位に立ち、敵本隊を攻撃しているのだが。
「おい、テイスティア。相手は他に奇襲部隊を残していないのだろうな」

『たぶん。大丈夫だとおもい……ます』
『大丈夫なの、テイスティア』
『ええ。ちょっと攻撃が厳しくて、すみません』
『そう。こちらから少しだけだけど応援を向かわせるわ、耐えられる?』
『すみません、コーネリア先輩』

 通信される言葉を聞いて、ワイドボーンは唇を噛んだ。
 目を走らせる戦場の様子から、間違いないことを確信して、叫ぶ。
「あの野郎――鬼か」
 気づいた事実は、数値から間違いない。

『どうしました、ワイドボーン先輩』
「どうしましたかじゃない。コーネリア、貴様は全力を持ってテイスティアを守れ」
『え、あ。はい』
「狙いは、テイスティアだ。奴はテイスティアを狙ってきている」

『え、えええっ! な、何で!』
「なんでじゃない。貴様が敵だった場合を、奴は考えたんだろう。これからの戦いでさらに成長されたくないから、貴様を先に始末することを考えたんだ」
『お、鬼ですか!』

「だから、そう言っているだろう。コーネリア、さっさとしろっ!」
『しかし、ここを開けると、敵奇襲部隊によって攻め込まれますが』
「そちらはこちらで何とかする。テイスティアを死なすな!」
『りょ、了解しました』

『ああっ、アレス先輩がよく攻勢に使う陣形を取ってます!』
「知ってる。援軍が駆け付けるまで耐えて見せろ!」
 本隊が損害を恐れずに左翼に攻勢をかけ始めた。
 防戦を行おうとしても、数的優位な上にアレスの繰り返される攻勢に、テイスティアがどれだけ奮闘しても耐えられるはずもない。

 次第に削られる部隊に、コーネリアの援軍が到着した。
 同時に、コーネリアのあいた場所に奇襲部隊が突入――ワイドボーンが少ない部隊ながらも陣形を広げて、大きな出血を防いだ。
 それでも。

『な、何て攻勢なのよっ。あいつ、本当にあんたを殺しに来てるわね!』
『ぼ、僕が何をしたっていうんですかっ!』
 テイスティアが絶望の叫びをあげた。

 + + + 

「この戦いは何なのよ」
 疲れたようにヘッドフォンを外したコーネリアが愚痴交じりに呟いた。
 結局
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ