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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
龍神演義・其ノ八
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フェイトは時々疑問に思う。自分の義理の兄になったこの男は何者なんだろうかと。

リンカーコアは持っていない。親がいるとか家族がいるとか友達がいるとかそういった話も聞いたことがない。おまけに名前も借り物で向かう場所も帰る場所も特になし。ちょくちょく暇つぶしにフェイトと遊んでくれる以外は自室だという超大型ロストロギアに引きこもっており、そのロストロギアもどこで手に入れ何故使いこなせているのか知らないという。

戸籍、家族親族、誕生日、出身地、記憶、交友関係、目的、社会的立場、その他諸々が一切なし。テスタロッサ家になったのだっていわば無い無い尽くしの彼に設定を付け加えたに過ぎない。
そしてそれだけ何もないにも拘らず、彼は毎日に何も不自由を感じていない。不安もあまりなさそうだしどうやら学も外見年齢以上にあるようだし、とにかく彼はお気楽だ。

「自分の記憶がないのに不安にならないの?」
「いや別に?」

偶に質問してみればこれである。基本的に彼は二つ返事で明確な答えを返す。何の気負いも感じられない気軽な回答を返されてはフェイトも黙るしかない。
自分の過去に興味がないのだろうか。自分は何者なのかという不安は覚えないのだろうか。ひょっとしたら彼だって自分と似たような人造生命体かもしれない(実際彼は時々不思議な力を使っている)。探せば家族がいるかもしれない。そう言った希望も何もかも含めて、それでも彼は気にしていない。

私はそれを知った時、「光龍(当時はまだそう名乗っていた)は凄く強いな」と素直に思った。
自分なんていつもくよくよ悩んで母さんの顔色ばかり窺って、分からない事や知らないことに不安いっぱいで過ごしてきたのに。不安が抑えきれない時はアルフに頼って、自分だけで出来ない事もアルフに助けてもらって、いつも一人じゃ心細くて誰かに何かに縋りついて生きていた。
でも彼は何にも縋らないし頼っていない。彼はそんなことをいちいち気にしないのだ。何というか、器が大きいというのだろうか?


それをリニスに話したら、彼女はこう言った。

「確かに誰にも頼らず一人で生きていくのは生半可な事ではありません。ですが、それが必ずしも恵まれた事とは限らないのですよ、フェイト」
「・・・?」

強い事が良くないとはいったいどういう事だろう、とフェイトは首を傾げた。一人で出来るのとできないのなら、出来る方がいいと考えるのが普通だ。例えば唯の缶切りとビンの蓋をあける機能も付いた缶切り、形も値段も似たようなモノなら普通の人は後者を選ぶ。だってビンのふたを開ける道具を買わなくて済むし、そうすれば道具がかさばって邪魔になりにくくなる。いいこと尽くめではないか。

「本当にそうですか?確かにその方が不便は少ないでしょうが、誰にも頼らないというのは逆を言えば誰の
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