暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
歌い手、歌を受け入れる
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で逃げたら、もう本当に春日部さんに顔向けできない。
 だから・・・僕は歌う(・・・)。全てに干渉する、奇跡の歌(・・・・)を。

 僕は、『ハラム・ハチャトゥリアン』のバレエ『ガティーヌ』最終幕にて用いられる楽曲『剣の舞』を歌った。
 そして、僕の歌を聴いた『白銀の十字剣』は、舞う(・・)

「GE・・・GUAA!!」

 それを見たガルドは本能的にであろう、白銀の十字剣を警戒している。
 それゆえに避けて通ろうとするが、十字剣はその道を、踊るようにふさぐ。

 この力をはじめて使ったのは、小学校に入ってすぐのことだ。
 僕がこんなことができるとは知らず、無意識のうちに発動してしまってその場を破壊し、たくさんの友達を傷つけた。
 そして、僕を気味悪がった両親は僕を捨て、別の施設に預けられた。

 そんなことがあったから、また使ったらたくさんの大切な人を傷つけてしまうんじゃないかと怯えて、真後ろからガルドを倒せるチャンスを失ったんだ。

《もうこれで、終わりだ》

 歌がクライマックスに入り、それと同時に十字剣はガルドを貫いた。

「GeYa・・・・!」

 白銀の十字剣の輝く光、歯切れの悪い悲鳴。それが、ガルドの最後だ。
 どんな形であれ、僕が自分の歌を受け入れる、そのきっかけを作ってくれた、ガルドの。

「御静聴、ありがとうございました。どうか、安らかな眠りを」

 だからだろう、僕は無意識のうちに、崩れ落ちていくガルドに向けて腰を折り、そう声をかけていた。

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