歌い手、歌を受け入れる
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、生意気なことをしてくれたものね」
「これだと、あれを裁いたって言いづらいな」
理性を失った獣の退治なんて、ただの狩だ。
そういう意味合いもこめてギフトゲーム名は付けられたのかもしれない。
そう思っていたら、すぐ後ろの茂みが揺れた。まさか、あれのほかにも敵が?
「誰?」
「・・・私」
「ああ、春日部さんか・・・ってその怪我は!?」
出てきたのは敵ではなく、右腕からものすごい量の血を流している春日部さんだった。
とりあえず、倉庫の中から簡単な止血を出来るもの、その他使いそうなものを取り出し、倒れそうな春日部さんを支えながら傷口に当てる。
「大丈夫?ちょっと沁みるよ」
「大丈夫じゃ・・・ない。本気で泣く」
春日部さんの目から涙が流れてるけど、消毒だけはしておかないとどうなるか分からない。
そして、今気付いたけど春日部さんの右手には白銀の十字剣が握られていた。
まさか、ここまでなっても取ってきたのか?
「春日部さん、その剣・・・」
「本当はあそこで倒すつもりだった。・・・ゴメン」
・・・いや、春日部さんは何も悪くない。
悪いのは、自分の力に恐怖した僕だ。
本来なら、あの場で倒せたんだ。僕が恐れてさえいなければ。
「ジン君、飛鳥さん、必要そうなものは置いていくから、春日部さんの右腕、止血とかお願い」
「まって、どこに行く気なの?」
「簡単なことだよ」
そう言いながら、僕は春日部さんの握っていた白銀の十字剣を取り、館のほうを向く。
「あのクズタイガー・・・ガルドを退治してくる」
もう、彼をクズだなんて呼ばない。
勝つために自らを変えた勇気は、賞賛に値する。
「危険よ!私も行くわ!」
「こんな言い方、出来ればしたくないんだけど、邪魔になるから、春日部さんのことをお願い」
飛鳥さんがとても驚いているのが見て分かる。
まあ、ただの歌い手だってここまで主張してきた僕が、ここまで自信満々になってたらそう思うよね。
「大丈夫、必ず勝って、生きて帰ってくるから」
固まっている飛鳥さんを置いて、僕は館へと歩いていった。
???
さて、館に着いたはいいけど・・・どうやって出てきてもらおうか。
まあ、早く終わらせたいし手軽に行きますか。
そして、犬笛と同じ音を、歌う。
きっと、ガルドは反応して出てきてくれるだろう。理性を失った今なら。
「GEEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAaaaaaa!!!」
しばらく歌っていると、予想通りガルドは出てきた。
そして、そのまま僕のほうに向かって走ってくる。本能に従い、食い殺す気なんだ。
だけど、僕は逃げない。ここ
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