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少年は魔人になるようです
第69話 少女は闇を解き放つようです
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ウウウウウウウウウウウウ!!」」
ドッ!


ギガドリルに貫かれたムスペルヘイムは上半身と下半身に分かたれ、爆発する事無く海に落ちた。

そして、海面から僅かに顔を覗かせているコックピットから超さんがゆっくりと出て来た。

その恰好は・・・ムスペルヘイムによく似た、しかし更に黒い本物の悪魔の様な禍々しい鎧だった。


「………まさか、この姿を晒す事になるとはネ。いや、期待していたのカ?この私が。」

「超さん。命が惜しいのなら、今すぐあの城を破壊して投降してください。」

「フ……大人しく投降するとデも?」

「いい加減にしなさいよ!この状況で勝てるとでも思ってんの!?」


九機の自分よりも何倍も大きなロボットがそれぞれ狙っていると言うのに、それでも超さんは余裕の態度を

崩さない。・・・この人達の、余裕の根源はなんなんだ?

実力も、経験も、自信もあるんだろう。でも、それだけじゃない気がする。


「まぁ、これで終わり……かナ。」
スッ
「超……分かってくれたアルか!!」


超さんが、"まいった"でもするかのように両手を上げる。

古菲さんが構えを解いたのを皮切りに、僕達と楓さん・千雨さん以外も構えを解いてしまう。


「皆さん!油断しては―――」

「『創造』『顕現』呼び出されるは魔人の初撃。彼の者が創り出せし騎士王の聖剣。

その蔵は有限にして無限。時の檻を破り今こそ来たれ。」


僕の叫びを掻き消すように、超さんが詠唱を始める。

そして、上げられた手へ黒い魔力がどこからともなく集まり、形を成していく。


「『――Briah』:転輪する勝利の剣!」
ズァァアアアアアア!!
「……!?皆さん、固まってください!!!」


形を成したそれは、前に愁磨さんから聞いた円卓騎士の『ガウェイン』の聖剣とよく似た剣。

だけど、神々しいまでに煌く筈のそれは黒と紫に染まり、見る影もない。

そのまま掲げられたその剣は、一瞬にして周囲を黒く染め上げ夜を作り上げ―――闇を解き放つ。


「『転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)』!!!」


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