氷の檻
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よ」
「シノン、凄いね!」
純粋に褒めるユウキと苦笑いするリーファ
そして、俺を見て妖艶さが少し混じる笑みを見せるシノン
最近、シノン……いや、詩乃の笑顔に大人の色香が出てきている気がする
それを独占したいという気持ちがあるのは……本当に詩乃に惚れてるんだな、と思ってしまう
……なにを考えてるんだか
「おい、キリトとリン。フレイヤさんがついて来たいって言ってるんだが……」
「……本当に大丈夫か?」
「大丈夫だ」
神話の通りならば後々、こいつらの唖然とした顔が見られるだろう
何はともあれ、フレイヤを加えた八人で第四層へ移動する
「……羽虫が飛んでおる」
俺達が準備を整え、大広間に入ったところで最初に投げ掛けられた言葉だ
虚空を見ながらの独り言の様相を示していたものの、それは確かに俺達を表していたものだろう
大広間の床や壁は今までと同じ氷。同じ材質の燭台やシャンデリア。青白い焔が風もないのに不気味に揺れる
そしてなにより目を引くのは隅に高々と積まれた金銀財宝の数々
「ぶんぶん煩わしい羽音が聞こえるぞ。どれ、悪さをする前に、ひとつ潰してくれようか」
巨大で豪奢な玉座に座っていた巨人族の王、スリュムが立ち上がった
その身長は見上げると首が痛くなるほど高く、通常の巨人族の約二倍
肌の色は巨人族の例に漏れず鈍い青色
脚と腕には黒褐色の毛皮製の防具を装備している
腰には巨大な金属の板を繋いで作られた板金鎧
上半身にはなにも装備はつけていないものの、あそこに攻撃を撃ち込むのは遠距離系武器以外は高さ的に不可能だろう
髭はその長い人生(?)を象徴するかのように長く、金色の冠と青い瞳が輝く
スリュムが一歩踏み出すだけで部屋全体が震え、金貨の山が崩れる
スリュムは二歩前に出ると立ち止まり、口を開いた
……すぐには戦いは始まらなさそうなので仕込みをしておこう
「ふっ、ふっ……アルヴヘイムの羽虫どもが、ウルズに唆されてこんな所まで潜り込んだか。どうだ、いと小さき者どもよ。あの女の居所を教えれば、この部屋の黄金を持てるだけくれてやるぞ、ンンー?」
まずは交渉と来る所あたりから多少の知性を感じる
フレイヤと同じくAI化されているのだろう
だがまあ、その交渉は無意味だろう。俺がスリュムの立場ならば聞き出してから黄金を拾い集めている最中に不意打ちをして殺せば済む話だし、ある程度、頭の回るやつならそのことを思い当たるだろう
そしてなにより……
「……へっ、武士は食わねど高笑いってなァ! 俺様がそんな安っぽい誘いにホイホイかかって堪るかよォ!」
こういう単純な考え無しのバカ(クライン)も存在する
刀を抜いて喚くクラインにスリュムは気分を害
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