氷の檻
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第三層のボスを倒し、その奥、階段のある部屋に入った俺達の目に飛び込んで来たのは巨大な氷の檻
檻の存在意味は人を捕らえておくという一点に限るだろう……特殊な性癖の持ち主は除く
俺達の目の前の檻は現在進行形で役目を遂行中らしい
檻の中には手足を氷の枷で捕らえられた美女が入っていたのだから
美女の見た目で目につくのはやはり豊かな胸だろうか
現にクラインの視線がそこに釘付けである
髪は長く、滑らかで、色はブラウンゴールド
雪の様に白い肌。髪と同色の瞳には憂いが浮かんでいた
俺達の姿に気づき、伏せていた顔をあげて、小さな声を出した
「お願い……ここから……出して……」
その声に誘われたかのようにクラインがフラフラと檻に寄っていこうとする
しかし、キリトにバンダナをつかまれ引き戻された
「罠だ」
「罠ね」
「罠ですね」
キリト、シノン、リーファがそう言うとクラインは未練がましそうな顔で頭をかく
その後、ユイにこの女性がNPCであり、HPが有効化されていることを知らされ……
「罠かな」
「罠だと思う」
ユウキとアスナがが同時にそう言った
それでも納得できないという表情をしているクラインは、罠であると唯一言っていない俺に期待の目を向けてきた
「そうだな……少し聞いてみるか……」
クラインから視線を檻の中の女性に移す
「あなたの名前は?」
「……フレイヤと、申します」
「……そうか」
視線を再びクラインに戻し、こちらに期待を超えて祈るような視線を向けてくるクラインに向かって口を開いた
「俺はこの女性を檻から出すことに賛成する」
「いよっしゃぁぁぁぁ!」
「ち、ちょっと、リン!?」
クラインの喜色でいっぱいの叫び声と他のメンバーの驚愕した表情。その全員を代表して声をあげたシノン
「じゃあ、俺はさっそく助けてくるぜぇ!」
いそいそと刀を片手に檻へ向かうクラインを尻目に他の面々が俺に詰め寄ってくる
「リン、どういうことなの?」
「後々のお楽しみってことで。ユイ、言うなよ?」
「にぃ、わかりました!」
素直に手を元気よく挙げて返事をしてくれたので再びユイの頭を撫でる
「ユイちゃん、わかるの?」
「はい、ママ。でもにぃに頼まれたので、いくらママでも教えられません」
「そんな〜……」
ユイに拒否されて目に見えて落ち込むアスナ
ユイはニコニコしながら俺にほお擦りしている
「……リン、なんか悪い顔してる」
「そうか?」
ポーカーフェイスには自信があるんだが……そう思ってユウキを見るとユウキは首を左右に振った
「何年来の付き合いだと思ってるの?リンの表情なら大抵読み取れる
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