第九十四話
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事を許そう」
ギルガメッシュが堪らずと立ち上がると、相変わらず上から目線でそう言った。
うーむ、プレッシャーがバシバシと飛んでくるそれはもはや殺気のレベル。事を構えるのは面倒だからどうするか、とイリヤに視線で問う。
「いいわ、同席に預かりましょう。わたし達が向こうに行かないとただの酒宴が戦争の引き金になりかねないわ」
と言うイリヤの了承を得て、俺達はテーブルを移動する。
「この食器を好きに使うが良い。見ていれば器が食材に負けている。その食器はそなたに下肢してやろう」
それが報酬だと言っているのだろう。ギルガメッシュの唯我独尊ぶりも、付き合い方が分かれば何となく許せるかもしれない。
ただ、あんなに偉そうにしていると友達なんて出来なかっただろうな。
…
…
…
さて、この集まりはただの酒宴で有ったはずだ。友達同士が集まって自宅の開く飲み会程度のものであるはずであった。
な・の・にっ!なぜ俺は今料理を作っているのでしょう?
見た事も無い食材を勇者の道具袋から取り出す俺を見て金ぴかの王様が自慢の宝物庫から格式高い食器から宝具の域にあるような料理器具、果ては宝具式のキッチンまで取り出して俺に押し付け、調理せよと命令しやがった。
マスターでも無い奴の命令は本来なら聞く必要は無いのだが、周りの視線が期待に満ちていた。…イリヤまで期待の視線を送り、最後は命令。断れば令呪を使用するのもいとわないと言われればやるしかあるまい…
いくつかは簡単に済ませられるようにあらかじめ作ってあったものと、クロックマスターで調理時間を短縮させたりと、割と短時間で用意して料理を運んでいく。
オードブル(前菜)に始まり、ポタージュ(スープ)、ポアソン(魚料理)、アントレ(第一の肉料理)と続き、ソルベ(冷菓)は作り置きのスプナッシュのシャーベットで時間を稼ぎ、ロティー(第二の肉料理)をこなせばようやくゴールが見えてくる。サラダ(生野菜)を出し終えると『アントルメ』はこの前作ったマカロンをだし、虹の実を取り出しフルュイ(果物)を終える。最後のカフェはサーヴァント組み以外の人たちに出し、サーヴァント達は残しておいた虹の実ワインを開けている。
流石に疲れた…今さらだけど、料理に給仕に俺一人でよく回したものだよ。まぁ、包丁やキッチンが優秀なのも理由だけど。うん、このキッチンや包丁欲しいなぁ。流石に宝具だけ有って使い心地抜群だった。
「ふむ、中々の料理であった。一流程度の技術であろうが、これほどの手並みには報酬をやらねばな。食器だけではなく、調理器具の全てを下賜してやろう。ゆめ精進に励むようにな」
「お口に合って何よりです」
ギルガメッシュがえらそうな口ぶりで労うが、まあ反論する気力も無い。
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