第九十四話
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イリスフィールもウェイバーも何も言わないが、その目が回答を訴えていた。
「虹の実と言う果物の果汁を深層水に一滴混ぜ込んだ物だ」
「たった一滴?」
「ああ」
「虹の実なんて果実、伝説にも聞いた事ない」
「私もよ…」
ウェイバーの呟きにアイリスフィールも若干放心しながら同意した。
「くぉら、チャンピオン。そっちだけで美味しいものを食うでない。此方にもよこさぬか」
ライダーがその匂いに釣られてやってきて俺の肩に手を置いてジュース瓶を奪い取ろうとする。
「こら、このテーブルからドリンクを奪っていくな」
「だが、おいしそうな匂いを漂わせておいてその瓶の中身をお主らだけで飲み干すのはあまりにも酷い仕打ちではないか?セイバーもアーチャーもそう思うだろう?」
同意を求めるように振り返るライダー。
しかし、返答は無い。二人とも王であり、自ら請い願うを良しとしなかったからだ。
とは言え、その表情が寄越せと訴えてはいたが。
「そっちは酒宴だろう。適当なものを出すから勝手にやってくれ」
俺はため息を吐きながら勇者の道具袋から虹の実ワインを取り出すとライダーに渡す。
「これは?」
「同じ実で出来たワインだ。度数は高めだから飲むときは注意…聞いちゃいない…」
その瓶を俺から奪うように引っ手繰るとライダーは飛んで戻り、ギルガメッシュに新たに酒盃を用意させると栓を開けた。
どぼどぼと酒盃に注ぎ、堪らずと口に含むライダー、セイバー、ギルガメッシュの三人。
「これはっ!」
「ほう、これはまことにうまいワインだ。いや、これはワインの範疇に入れることすら憚られるな」
「くっ…確かに我が財にもこれほどの逸品は珍しい…」
何かもう聖杯問答そっちのけで酒盃を煽っているが、それかなり度数高いからね。…まぁサーヴァントなら問題ないのか?
俺は勇者の道具袋から更に一品取り出す。
取り出したそれはシュワシュワと透けて見える内部から気泡が立つ一つの果実だ。
それを切り分けてイリヤ達へと振舞う。
「これは?」
「スプナッシュと言う…梨の一種…だと思う」
「だと思うって…」
問いかけたイリヤの代わりにウェイバーが呆れていた。
しかし、だされたその果実を頬張りたいと言う欲望には素直なようで、手づかみであると言うのも忘れてかぶりついた。
その瞬間シュワシュワと口の中で気泡が弾け飛ぶ。
口から漏れたその気泡が清涼剤も格や言う匂いを辺り一面にばら撒いた。
「うまーいっ!」
「これはもうこれ以降果物を食べられなくなってしまいそうね…」
「激しく同意だ…」
「おい、そこの雑種ども。同席を許す。そこの小間使いも我らに給仕する
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