第九十四話
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だ。特性に応じた役割を与える事で本来なら呼ぶ事も難しい英霊を降臨させ、使役する。いくらマスターが桁違いだとしてもこれはおかしい。
まぁ、元が英霊じゃなく、人間霊を平行世界から引っ張ってきたみたいだから私達の理屈は通じ無いのかもしれないけれど。
アテナに代わる。そう言ったチャンピオンの背は縮み、銀髪の少女が現れた。彼女は猫耳のような帽子を被り、服装は普通の一般の現代人の少女のそれと変わらない。
「アオの頼みゆえ、そなたらの願いを聞いてやろうよな」
「アテナね。あなたとは二回目だったかしら」
「以前は確かメドゥーサを相手にした時に出てきたのであったな」
「ええ」
ライダーとも一戦交えていたのか、イリヤスフィール達は。
「では面白い物を見せてやろう。妾の後ろに着くが良い。決して前に出るでないぞ」
何をやらかすのか、興味はあるが言われたとおりにアテナと呼ばれた少女の後ろへと移動した。
「では…」
と呟いた彼女の眼が宝石に光ったような気がした。
そして強力な魔力の迸りを肌で感じる。次の瞬間、間桐邸が一瞬で石化してしまった。
「え?」
石化の魔眼。宝石にランクされる上位の魔眼はキュベレイとも言われ、ライダーが所持していた一級の魔眼だ。
「石化の魔眼…?」
ほんのひと睨みで地面も全て石化した間桐邸をアテナは進んでいく。
いつの間にか手には大きな漆黒の鎌が握られていた。
「……あなたは何者なの…」
答を求めたわけではないが、自然と呟いてしまっていた。
「妾はアテナであると同時にメドゥーサでもある三位一体の女神である故、神格を切り替えればこの程度は容易い」
アテナと言う名前が伊達や酔狂でなく本物の神霊であったと言うのに驚きを隠せない。いや、平行世界での法則上の事で、おそらくこの世界の神霊とは定義が違うのであろうが、それで到底信じられるものではなかった。
呆然としている私を置いてアテナは大鎌を振るい入り口を破壊して中へと進む。
「置いていくぞ」
「リン、遅いわよ」
イリヤもすでにアテナの横に居た。私は置いていかれまいと駆け寄る。
「あ、待ちなさいよ」
間桐邸の中の調度品まで全て石化されているそれを横目に硬い床を踏みしめて進む。
魔術師の工房にあるトラップは全て石化し、その役目を失っていた。
しかし、間桐邸の中に淀む嫌悪感溢れる魔力の匂いは未だに濃厚に漂っていて気持ち悪い。
「ここだな」
アテナは大鎌を振るい、一見何も無いように見える壁を切裂くと、地下へと続く石段が現れた。
「うっ…」
「これは…」
そこから漏れてくる魔力の残滓は一等醜悪で、吐き気をもよおすほどだった。
全身に
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