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エターナルトラベラー
第九十四話
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ったら何が問題なの?チャンピオン」

「俺はね、使い方を間違わなければ確かに多くの命を救う力を持っているだろう」

「うん」

「だけど、生前、俺が助けた人間は片手の指で数えられるほどしかいない」

「え?」
「何でよっ?」

俺の言葉に耳を疑うイリヤと凛。

いや、国を守ると言う役割で多くの命を救った事も有るかもしれないが…そう言う事ではなく。

「全てを平等に救うなんて不可能だとか、救った分だけ救われなかった人たちに恨まれるとかそう言う面倒も有るけれど…俺はね、助けた人の人生に責任が持てない場合は助けない事にしているんだよ」

俺の言葉に意味が分からないとでも言いたげなイリヤ。

「そうだな…凛、桜を助けると言う事はどういう事だと思う?」

「そりゃ、桜を間桐の家から連れ出して、それで…」

「それで?彼女は理由が有って間桐に養子に出されたのだろう?確かに凛の父親の選択は間違っていたかもしれない。しかし、連れ出した桜を遠坂の家に帰せるのか?帰せば全てうまくいくのか?たぶん不可能だと思う。桜を連れ出した事が間桐と遠坂の確執となって両家を苛むだろうし、それで桜が救われるかどうかも分からない」

「あっ…」

「確かに救ったと、自分の心は満たされる。しかし、それは余りにも無責任だ。桜を救い出すと言う事はその後に待ち受ける面倒ごと全てを請け負うと言う事。それが出来ないのなら…いや、何でもない。口が過ぎたな。これは君達が選択して選ぶものだった」

しまった…説教はしないが俺の信条だったのに…

「チャンピオンの言う事ももっともだわ。表面上救ってもらっても、それは救いじゃない。いいえ、救いではあるのでしょうけれど、それによって生じた不利益を人任せにしてしまっているもの。…少し考えてみる。考えて、あなたの納得がいく答が出たのなら、手伝ってもらえないかしら?」

「俺はイリヤのサーヴァントだ。イリヤの了承があれば手伝うくらいはするよ」

そう言うと凛は少し距離を取った。一人で考えたいのだろう。

「結局チャンピオンは何が言いたかったわけ?」

「俺はイリヤの力だ。だけど、その力を使うのはイリヤの意思であるべきだ。ならば、行動に伴った結果の責任はおのずとイリヤにやってくるよって言う事」

「そんな事当たり前でしょう」

「そう、当たり前のことだけど、それは凄く難しい」

さて、しばらく凛は一人で考え、ようやく結論が出たらしい。

一時間ほどで戻ってきた彼女は迸るほどに鮮烈な雰囲気を纏っていた。

「桜は助け出す。これは絶対。そして私は私の意志で桜を辱めた臓硯を殺すわ。そして、桜が生きていけるように私が出来る事は全てする。この世界のあの子はまだ助けられる。なら助けるのが姉と言う
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