第九十四話
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の手駒と解釈したのだろう。それは俺達の世界も間違いではなかったが、イレギュラーすぎて期待もされていなかったはずだ。
「それで、当主はなんてあなたに命令しているのかしら?私達を援護しろとでもおっしゃられたのかしら?」
「?わたしは誰の指図も受けて無いわ」
「え?じゃあ、なんであなたは聖杯戦争に参加しようとしたの」
「え?わたしは聖杯戦争に参加なんてして無いわ」
「は?サーヴァントを従えてこの冬木市に居るとなればあなたも聖杯を求めてやってきたのよね?」
「わたし達がここに居るのはただの事故よ。聖杯なんて要らないわ」
「え?」
イリヤの言っている事にまったくの嘘は無い。しかし無いからこそ相手には意味が通じないのだろう。
「そんな事はどうでもいいでしょう。それよりもわたしはあなたのお話が聞きたいの。ねぇ何かお話を聞かせて」
「え?私の?あの、でも、ホムンクルスである私にそんなに面白い話は…」
「それじゃこの冬木に来てからの事で良いの。何か面白い事は無かった?」
「そうね…私は生まれて始めて外に出たのだけど…」
と前置きをしてから語られたアイリスフィールの話はこんな人が大勢居る所に来た事は初めてで酔いそうになった、とか。潮の匂いに潮騒の音、海の水は冷たかったけれど気持ちよかったとか、些細な物だった。しかし、それはイリヤの知らないアイリスフィールの物語だった。
時間にすれば30分。それだけあれば彼女の物語は尽きてしまう。それはきっと悲しい事なのだろう。少し前のイリヤもそうであったのだが、彼女は少し前のイリヤそのものだろうか。
そろそろ時刻も良い頃合だ。イリヤがあくびをかみ殺している。
「名残惜しいけれど、そろそろわたしは帰るわ」
「そう。ねぇ本当に貴方は聖杯戦争の参加者では無いの?」
「うん。それじゃ、またね…お母様…」
最後の言葉は口から漏れる事は無いほどに小さく虚空に消え、イリヤは踵を返す。
俺は彼女を抱きかかえると夜の空へと飛び去り、ライダーが始めた突拍子も無いこの宴会は今度こそ終了した。
衛宮邸へと戻り凛と合流すると、何やら手伝って欲しい事があるとの事。
詳しく内容を聞くと間桐家に引き取られた妹の桜を助け出すのを手伝って欲しいらしい。
と言うか、桜って凛の妹だったのか…
そして凛の口から話される桜の現実は確かに憐憫をさそう。が、しかし…
対価を何にするかとか、魔術師的なあれやこれやを話す凛。しかしそれははどうでもいい。
そう、どうでもいいのだ。
「俺は今はサーヴァントで、マスターであるイリヤの盾であり剣であり、純粋な力だ。だからイリヤが許可したのなら凛に手を貸すのも良いだろう」
「うん?だ
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