第一幕その九
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第一幕その九
「そこまで自信があるっていうのか」
「それはまた」
「そうだよ。絶対にないからね」
フリッツは胸を張って言い切ってさえいた。
「何があってもね」
「それはどうかな」
ダヴィッドは彼の自信を聞いても余裕に満ちた顔をしていた。
「果たして」
「まあいいさ。僕の心が動くことはないからね」
ワインを見ながら上機嫌に話すフリッツだった。
「何があってもね
「フリッツさんは頑固だから」
ここでカテリーナが言う。
「だからそれはないと思います」
「だといいけれどね」
ダヴィッドの自信は変わらない。フリッツと同じく。そんな話をしているとここでペッペが演奏を止めたのであった。
「音楽は終わったのかい?」
「いえ」
そうではないというのだった。
「これからです」
「これからなのかい」
「はい、本番です」
にこりと笑ってこうフリッツに話してきた。
「本番でうが」
「何があるんだい?」
「やあやあフリッツさん」
「こちらですか」
「どうもこの度は」
「お誕生日おめでとうございます」
村人達と子供達だった。彼等はにこやかに笑ってそのうえでフリッツに恭しく挨拶をしてきたのである。
「もう四十でしたね」
「お元気で何よりです」
「お邪魔させて頂いた理由はですね」
「一体何なのですか?」
彼等がいきなりどかどかとやって来たのでまずは目をしばたかせるフリッツだった。
「お客様でしょうか」
「いえ、お祝いに参りました」
「フリッツさんの誕生日を」
しかし彼等はにこやかな笑みのままこう述べるのだった。
「その四十の誕生日を」
「ここで」
「そうなのでしたか」
彼等の話を聞いてそのうえで納得したフリッツだった。
「僕の為に」
「それで音楽をと思いまして」
「歌もです」
こう言うのだった。
「それを宜しいでしょうか」
「是非に」
「そうなのでしたか」
「はい、そうです」
またペッペが彼に言ってきた。
「それでは」
「うん、じゃあ御願いするよ」
彼等のその好意を喜んで受けることにしたフリッツだった。
「是非ね。そして」
「そして?」
「何かありますか?」
「皆さん」
村人達にも子供達にも告げた言葉であった。
「それではですね」
「それでは?」
「何かありますか?」
「音楽の後で皆で楽しくやりましょう」
皆に告げるフリッツだった。
「お酒に御馳走で」
「ではフリッツさん」
カテリーナがここでフリッツに告げてきた。
「皆さんの分の御馳走とお酒も」
「うん、用意しておいて」
「わかりました」
そんな話をしてからであった。あらためて音楽を楽しむ。しかしフリッツは自分が結婚するなどとは夢にも思っていなかった。まだ
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