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至誠一貫
第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
四十二 〜偽物〜
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「強請の手合いみたいなので。叩き出してしまって下さいませ」
「良かろう」
 ジロリ、と男達は私を睨み付ける。
「フン、優男が。少し、痛い目に遭わせてやる」
「言葉が通じぬ獣が、まだいたとはな。店の中では狭いだろう、外へ出よ」
「ほざけ!」
 男の一人が、いきり立って剣を抜いた。
「愛里。この手合いなら、お前で十分だろう。相手をしてやるが良い」
「えっ? でも……愛里さんでは」
 そうか、元皓は知らぬのだな。
「大丈夫ですよ、元皓さん。歳三さん、小刀をお借りできますか?」
「うむ」
 堀川国広を鞘ごと、愛里に手渡した。
「ありがとうございます」
「おいおい、こんな嬢ちゃんが相手かい? 優男さんよ」
 下卑じみた笑いをする三人。
 愛里は国広を抜き、構える。
「よく見ると、なかなか可愛らしい嬢ちゃんだな。後で可愛がってやるか」
「お断りですね。お顔も、心も腐りきってる人は、嫌いですから」
「何をこのガキ!」
 剣を抜いた男が、愛里に向けてそれを力任せに振り下ろす。
 さっと躱した愛里、峰に返した国広で、強かに男の小手を打った。
「ぐぁっ!」
 たまらず、男は剣を取り落とす。
 すかさず、愛里がその懐に飛び込み、柄を鳩尾に叩き込んだ。
「ぐへっ!」
 よろめいた男は、腹を押さえながらその場に倒れ込む。
「……す、凄い……」
「元皓。愛里は頭脳明晰だが、撃剣の遣い手でもある。覚えておくが良い」
「は、はぁ……」
「このガキ! ぶっ殺す!」
 残った二人が、顔を真っ赤にして得物を手にした。
 一人は槍、もう一人は斧か。
「二人がかりとは、卑怯だな」
「やかましい! 腰抜けはすっこんでろ!」
「愛里。やれるか?」
 男の言葉を無視して、愛里に問うた。
「二人同時は厳しいですね。一人ずつなら問題ありません」
「……よし」
 兼定を抜き、斧を手にした三人の兄貴分らしき男に、相対した。
「なんだ? やろうってのか?」
「やれるものならやってみるがいい」
「何を。……う」
 斧を構えた男だが、私を見て動きが止まる。
 抑えていた殺気を解き放っただけだが、それを見てもう一人の男の顔も、驚愕に変わった。
「な……」
「あなたの相手はこっちですよ。やあっ!」
 その隙に、愛里が斬りかかる。
 慌てて槍を繰り出したが、愛里は慌てず、その穂先をバッサリと斬った。
 そのまま飛び上がると、男の肩を強かに打ちのめす。
「うぎゃっ!」
 肩を押さえ、転げ回る男。
 恐らくは、肩の骨が砕けたことだろう。
 剣術は力ではない、その事をまざまざと見せつけられ、残る一人は唖然としている。
「さて、残るは貴様だけだな」
「お、お、おのれっ!」
 自棄になり、斧を振り回す男。
 周囲で固
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