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プリテンダー千雨
外伝・初めてのエネルゴン
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今日は千雨初めての戦闘訓練の日である。だが、訓練を始める前に可能は目の前にコップに注がれて置かれた物体を見て固まっていた。

「なあ、父さん。これって何だ?」

「何って、エネルゴンだが。」

「名前だけ言われてもわかんねえよ!!!」

千雨の目の前にあるコップの中にあるモノ。それは紫色に輝く液体であった。千雨は自身の父親である小鷹にこれを飲めと渡されたのである。

「エネルゴンは我々トランスフォーマーのエネルギーだ。私たちプリテンダーは人間の食べ物を摂取できるが、それだけでは戦闘を行うだけのエネルギーを補えない。だから、千雨もこれからは戦闘があったらこれを飲んでもらう事になるな。」

「マジかよ・・・」

長年、人間として暮らしてきた千雨にはこの毒々しい色をした液体を飲むのに躊躇があった。多分、毎日“抹茶コーラ”みたいな意味不明なジュースを飲んでいるクラスメイト“綾瀬夕映”でもこれを飲もうとは思わないと思う。

「別に食べ物で補っても構わないが・・・それだと物凄い量になると思うぞ。」

「っ!?」

つまりこれを拒否すれば自分は大食いキャラの仲間入りするという事になる。それだけは避けたい。

「分かった、飲むよ。」

覚悟を決めた千雨コップに口をつける。だが・・・

「ブハアッ!!!」

直ぐに吹き出してしまった。

「ぐっ・・・何だこれ。苦いような甘いような辛いような良くわかんない味だ・・・」

「むう・・・やはりこの味は人間の味覚には合わないか。」

「じゃあ、どうすんだよ・・・」

思いっきり落胆する千雨。だが、小鷹はそんな彼女に告げる。

「よし。今度はロボットモードになってから摂取してみるんだ。それなら大丈夫かもしれない。」

「よし!行くぞ!!」

その言葉であっさりと千雨は復活した。どうやら、よほど大食いキャラになるのが嫌らしい。

「スーツオン!プリテンダー!!」

千雨は一気にロボットモードになる。

「よし。じゃあこれを飲んでみるんだ。」

そして、そんな彼女に小鷹はエネルゴンが並々と注がれた透明な1辺が2メートルはあるキューブを見せた。

「こ、これを一気にか?」

「ああ。だが飲み過ぎないようにな。エネルゴンを過剰に摂取すると酔っぱらってしまうからな。」

「いや。私もまだ大量にぐびぐびと飲む勇気は無いって。」

そう言って千雨は恐る恐るエネルゴンキューブの淵に口をつけて中身を飲み始める。

「あれ?結構いけるぞ。」

「そうか。とりあえず、暫くすれば人間の姿でもエネルゴンを摂取できるようになるだろうな。」

千雨としてはそちらの方がありがたい。ロボットモードになる時は一目を気にする必要があるからだ。

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