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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第10話 「あえて言おう。ショタであると」
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ぶてしさを身につけるはずじゃ」

 高笑いをするじじい。
 おのれー。ってあれ? いま、わたし、やばい事に気づいちゃった。

「なんでー。リヒテンラーデ候が、皇太子殿下のご幼少の頃の写真を持ってるの?」

 ま、まずい。私、消されちゃうのかしら……。

「な、なにを言うかっ、陛下に命じられて写真を撮ったのは、わしじゃ。予備ぐらいは、持っておるわ」

 顔を真っ赤にしても、説得力ないぞー。
 ハッ。そうか、そうだったのか……。

「リヒテンラーデ候、貴方も同士だったのですね」
「ち、違う。わしは、正常じゃ。まともじゃ」

 エリザベートがもう、何も言わなくていい。とでも言いたげに、リヒテンラーデ候を見つめました。自分に正直になった方が楽になれます、よ。

「ラインハルト派ですか? それともジーク?」
「どちらかというと、ジークかのう」
「語るに落ちるというお言葉は、ご存知?」
「おのれ、謀ったな。エリザベート」
「いえいえ、とんでもない。同士リヒテンラーデ候」

 貴方は良い上司だったが、貴方の性癖がいけないのだよ。

 ■宰相府 ラウンジ アンネローゼ・フォン・ミューゼル■

「あいつらって……」

 席に着くと、皇太子殿下は疲れたように、ぼそっと仰いました。
 同僚の性癖に、わたしも疲れてしまいます。
 わたしは正常ですよ。皇太子殿下。

「そうであって欲しいよ」
「はい」
「ラインハルトたちは、しばらく呼ばない方がいいかもな」
「そうですね〜」

 ふふふ。ラインハルトには、悪いけれど、しばらく皇太子殿下は独り占めね。
 計画通り。ふふふふふふふ。

「あれ?」
「どうかしましたか?」
「いや、なにか寒気が、な」
「それはいけません。今日のところはゆっくりと、おやすみになるべきです」
「そうだな。明日は軍関係に、激励に行かなきゃいかんしな」
「ええ」

 ■オーディン 幼年学校 ジークフリード・キルヒアイス■

 ラインハルト様の背中が、ゾクッとしたように、震えました。
 どうしたのでしょうか?
 なにやら辺りを見回しています。

「キルヒアイス。ばかばかしいと思うが、嫌な予感というものを、感じたのだが……」
「また、皇太子殿下が悪巧みをしているのでは?」
「そうかもしれない。あれさえなければ、いい奴なんだが……」
「ラインハルト様は、皇太子殿下の事、お嫌いですか?」
「い、いや。嫌いではないぞ。嫌いでは……」

 どうしたのだろう。どことなく顔が赤いのですが……。

「そういうキルヒアイスはどうなのだ?」
「私は皇太子殿下の事を尊敬していますよ。問題から逃げずに、立ち向かっておりますし。帝国の事を真剣に考えているのは、皇太子
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