暁 〜小説投稿サイト〜
とある碧空の暴風族(ストームライダー)
常盤台中学襲撃事件
Trick44_この兵器、“裏”の作品か?
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はなかった。

『なんだこれ・・・』

『ちッ! 奴ら3人だけじゃない! 他にも隠れてやがったんだ!!』

画面に映し出されたのは人型の熱源が無数。

操縦者が一瞬思ったのが、大量発生で飛び交う虫の大群であった。

カメラ映像には目で追える速度はあるがあまりにも数が多すぎて把握できない、と言った状況だ。

『数なんて関係ない』

『そ、そうだ! まとめて殴り殺せば!!』

銃火器は使えなくても、使える武器はあった。サソリのハサミだ。

切断能力があるだけでなく、あのハサミの質量は掠っただけで怪我は間違いない。

大量にいる熱源(ひとかげ)。そのハサミを闇雲に振り回すだけで必ず当たると考えて
実行した。

『良し! 当たったぞ!』

『クズ共め、おれに逆らおうなどとは愚かな』

『俺たちだ! 俺も忘れるな!』

攻撃に手ごたえを感じて喜ぶ操縦者の2人。

だが、2人は考えるべきだった。

兵器に乗っている状態で、視覚の悪い熱感知カメラの状態で、
操縦者にはハサミに何かが当たる感触のない状態での手ごたえとは何だろうか?

それは熱感知カメラから熱源(にんげん)が消えたか、どうかである。

つまりを言えば、ハサミを振った場所の熱源(おとり)を消せば相手にとっては
手ごたえになるのだ。

『この調子で全員殺せ! 殺せ殺せ殺せ!!』

『言われなくても煙幕がはれた時には血の海ができあがっているよ』

喜び勇み、再び熱感知カメラに映った熱源(てき)にハサミを振り続けた。






「全く気付かれてないな」

『作戦に抜かりなどない。高貴なる私が考えたのだからな』

「いや、意外と単純な作戦だぞ、これ?」

「早く殺したい。まだ始めてはだめか?」

宗像と黒妻は今、片膝を地面につけた低い体制をとっていた。

場所はサソリ型兵器≪スティンガー≫の真下。

爆煙と共に突入した3人はすぐに≪スティンガー≫の下へと潜り込んだ。

そして、この場にいない信乃は熱源(おとり)役を引き受けていた。

熱感知に写っている熱源は全て信乃の残像にして炎の道 (フレイム・ロード)の(トリック)

炎の道(フレイム・ロード)であれば、実像を必要としない熱源が大量に作れる。

もっとも、炎の王クラスの暴風族(ストーム・ライダー)しかできない離れ技ではあるが。

煙幕も通常カメラではなく熱感知カメラに切り替えるためのもの。

さらに囮の最終目的は・・

『そろそろだ』

「おう!」「わかった」

合図とともに2人は動いた。

鎧や兵器など、強固な装甲に包まれた相手に対して有効なものは

装甲の隙間への攻撃。ここでいえば脚の関
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