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Black Engel and White Engels
ガニメデ行政府編
第1章
「|開戦計画《Plan of attack》」
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(モデル・横浜MM21、臨海副都心、ポート/六甲アイランド)
・初期造成建物群
・量子コンピュータ3機
など

「つまり、このアドバンテージを活かして、人類を宇宙空間への居住を推進しろと?」
「そのとおり。できればそれを21世紀中盤にはして欲しい。また、宇宙開発技術は80年代のアメリカを基礎にしたものしかない。」
私はその言葉に絶句した。

「ちょっと待ってください。50年以内に宇宙船から宇宙に居住可能な構築物の構築、惑星開拓技術、その他諸々をしろと?」
「そうだ。なに、地球時間の1日がその“ガニメデ”時間の24日、ほぼ1ヶ月に匹敵する。なんとかなるだろう。」
「なんとかなるだろうって・・・」
いくらアドバンテージがあっても、ワンペアしかないのにフルハウスの相手に勝てと言っているようなものだ。
「降りることは許されない。これに失敗すれば、私は人類に失望するかもしれない。」
私は黙って首を縦に振るしかなかった。

「さて、この契約はここまでだ。もう一つ、君にはやってほしいことがある。」
そう言って、神が手招きすると1脚の椅子が登場し、テーブルの上にカップが一つ現れた。
「彼女を此処へ。」
神がそう言って、近くにいた光る物体、おそらく天使だろう。もうなにも驚かない。に告げると、ひとりの少女が現れた。

「これもまた私がランダムに選んだ少女だが、彼女も一緒に救って欲しい。彼女は生きたい願望と死にたい願望の狭間でいる。」
「肉体的には?」
「死んでいる。」
なるほど。そう思って紅茶のカップに口をつけた。その神の言葉から、おそらくそうだろうとは推測していた。
「で、私にどうしろと?」
「あたしは、私は・・・」
彼女が小声で話し始めた。

「あたしは、誰からも愛されていないと思っていました。テレビで見たUNICEFのCMに出てくる親子でもそこには愛情があります。でも、あたしには愛情がないものだと・・・」
「あなたは虐待をされていたのですか?見た目高校生に見えますが。」
「いいえ。そんなことはありませんでした。」
「うん・・・これから言うのは独り言だからそのつもりで。」
「はい。」

「あなたは甘ったれていますね。まぁ、わからなくはありませんし、思春期はそうなのだろうと思いますが。そのCMの親子は私も見たことがありますが、そもそも置かれた立場が違います。彼女たちはダルフール紛争か何かで逃げてきた難民です。ダルフールを知っていますか?イスラム教徒とキリスト教の紛争に資源紛争が混じった世界最悪の内戦です。人間が基本的な生活を送るに必要なのはまさに、衣・食・住なのです。それがない彼女たちと一緒にしてはいけません。そして、国内では親に虐待されて死んでいく子供たちが多すぎます。動物の話ではありませんが、育てられな
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