それぞれの理由
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ィアも照れたように笑っていた。
「まあいい。嫌われるのは慣れている。それより訓練の後は、テイスティア――お前は残れ」
「え、は、はい」
戸惑いながら頷いたテイスティアに、ワイドボーンは意地悪げな笑みを浮かべた。
「貴様一人が頑張ったところで、どうせ無駄だ。だから」
笑みを浮かべたままで、周囲を見渡す。
「だから、君らが責任を持って、彼に教えろ。ローバイクは兵站と一般常識について、コーネリアは艦隊運用、機関工学について。そして、アレス、貴様は戦略概論と戦史、戦術分析だ」
小さく目を開いたアレスに、ワイドボーンは眉根をしかめた。
「何だ、不満なのか」
「いえ。戦史はともかく戦略概論や戦術分析はワイドボーン先輩が教えると思ってましたから」
「ふん。こんなところで意地を張っても仕方がないだろう。戦略や戦術については君が適任だと思ったから、そう言っているのだ」
「で、ワイドボーン先輩は何を教えるのですか?」
「俺は陸戦実技と射撃実技を教えてやる。君らでは出来ない事だろう?」
「ええ、あまり得意ではありませんね」
そうだろうと、ワイドボーンは笑い、いいなとテイスティアに確認する。
話の流れに唯一ついていけなかった彼は、言葉の意味にようやく気付いた。
「そ、そんな。皆さんに迷惑をかけるわけには」
「貴様が無能な方が迷惑だ」
「す、すみません」
「だから、迷惑にならないように教えてやるといっているんだ。それにな……」
顔を覗かれて、驚いたようにワイドボーンを見つめる。
睨むような姿にも、戸惑いはすれ目をそらす事はなかった。
「良い顔をするようになった。少なくとも自分の無能すら理解できない馬鹿から、無能を理解する馬鹿になったようだ。厳しく教えてやるから、覚悟をしておけ」
「は、はい。お願いします」
テイスティアは大きく頭を下げ……顔を覗いていた、ワイドボーンに力強く頭突きをした。
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