それぞれの理由
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ったコーネリアに、テイスティアは大きく目を開いた。
士官学校に入って、初めて褒められた言葉。
自分にそんな能力があるなど思ってもいなかった。
だからこそ。
「自信がない?」
「はい」
「私だって最初から艦隊運動に自信があったわけじゃないのよ。何度も失敗して、挑戦して、戦術シミュレーターにこもって――ようやく自信がついたのだから」
「僕にも……出来るでしょうか」
「やればいいじゃない。失敗しても、あなたが困るだけで終わる。何百人の命を背負うより、遥かに楽なことでしょう」
あっさりとコーネリアは言った。
確かに、今まで自分が悩んでいたことに比べれば、自分だけで終わると言うのは遥かに簡単に聞こえた。
もちろん、恐い。
失敗したらどうしようと思う。
誰だって失敗をしたくない。
でも、辞めたら失敗すら出来なくなる。
「コーネリア先輩。僕――もう少し頑張ってもいいでしょうか」
「それになぜ、私の許可が必要なの」
「そうですね。……僕、もう少し頑張りたいと思います」
言いなおした言葉に、コーネリアは満足そうに頷いた。
+ + +
「すみません。ご迷惑をおかけしました」
小会議室の扉が開くや、声とともに頭を下げる少年がいた。
小さく片眉をローバイクがあげ、コーネリアが出迎える。
いらっしゃいとの言葉に、テイスティアも嬉しそうに微笑んだ。
しかし、それは一瞬。すぐに真面目な顔になれば、アレスの方に歩きだした。
アレスも何も言わずに向かい合う。
視線に対して、テイスティアは怯むことなく頭を下げた。
「アレスさんの言っていた覚悟は、僕にはまだわかりません」
「そうか」
「でも、僕はやめません。覚悟もない駄目な僕だけれど、その理由を見つけたいから――僕はやめません」
「卒業まで見つからないかもしれないよ」
「かもしれません。でも、僕は今まで何もしなかったから。もう遅いかもしれませんけど、頑張りたいんです」
テイスティアの答えに対して、アレスはしばらく彼を見つめた。
怯えのない目が、アレスを捉えている。
アレスが何を言ったところで、迷わない。
そんな瞳に、アレスは小さく髪を撫でた。
「なら、好きにしろ。元より辞める辞めないは君が決めることだ」
「ええ。でも、先輩には――アレス先輩には言っておきたくて」
「普通は、最初は私に言うものだと思うがね」
少し不愉快気な声に、アレスとテイスティアがワイドボーンを見た。
口をへの字に曲げている様子で、どこか拗ねたようだ。
そんなワイドボーンらしからぬ姿に、アレスは笑い――テイスティアは頭を下げた。ごめんなさいとまた謝る姿に、周囲の表情が綻ぶ。
あがる笑い声に、テイステ
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