暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
歌い手、初のギフトゲーム
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 そう言ってくれた。春日部さんは動物並みの五感を持っているのでこんなときにすごく頼もしい。

「あら、犬にもお友達が?」
「うん、二十匹くらい」
「犬かー・・・久しぶりにモフりたい」

 ここ数年触ってないなー・・・箱庭にいないかな?普通の犬。

「奏は犬が好きなの?」
「うん、一番好きな動物は犬だよ。何でかは、自分でも分からないけど」

 そのことについて春日部さんと話をするのは楽しそうだけど、今はそれどころじゃないよね。

「それより、あのクズタイガーがどこにいるかとか分かる?」
「それは分からない。けど、風上なのに全然匂いを感じないから、どこかの建物の中にいると思う」
「そうか・・・皆、ちょっと止まってくれない?」

 一つやりたいことが思いついたので、その場に止まり目を瞑る。

「どうしたの、奏君?」
「いや、このあたりにいるのかどうかだけ確かめようかと思って。動かれると分からないからちょっと時間を頂戴。後、春日部さんは耳をふさいでおいたほうがいいと思う」

 さて・・・春日部さんが耳をふさいでくれたので、そのまま四方八方に超音波を放つ。
 そのまま音の跳ね返り方から、ぶつかったものが動いているのか、そのものの大きさ、命を持つのかを把握していく。
 やっていて思ったけど、多分これが“音響操作”なんだと思う。
 “音”と“響き”を意のままに操作する、そういう感じなのかな?

「ふう・・・この辺りにはいないみたい。多分、あっちの方にある建物の中じゃないかな?」

 このあたりに建物は、あそこしかない。間違いないと思う。

「そう・・・なら、そこにいると仮定して」
「ううん、間違いなく奏の言ってる建物の中にいる。今確認した」

 いつの間にやら、グリフォンのギフトで飛んでいた春日部さんがそういっている。
 目がいいってレベルじゃないよな・・・となると、何か目のいい動物のもの?何がいたかな・・・

「その目・・・そういえば、鷹のお友達もいるのだったわね」
「あー、なるほど。確かに鷹なら見えそうだよね」

 ほんとにたくさんの友達がいたんだなぁ、春日部さん。
 その生活も楽しそうだ。

「でも、ちょっと気になることが」
「それは何ですか?」

 あ、やっとジン君が喋った。何か周りにある木を見ながら考え事でもしてたみたいで、一切喋らなかったから、ちょっと心配だったんだよね。

「館まで植物に飲み込まれてた。勝つためとはいえ本拠の建物まで壊すのはおかしいし・・・」
「確かにそうですね・・・ガルドに何かあったんでしょうか?」
「それは行ってみれば分かるでしょ」
「そうね。ここで悩んでいても何も始まらないわ」

 さて、あの後しばらく歩いてその館に着いた。

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