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プリテンダー千雨
桜通りの吸血鬼編
第一話
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(別に異常は無いみたいだな・・・)

やっぱり吸血鬼と言うのはタダの噂だったか。そう考えながら歩いていると、向こうの方から同じクラスの宮崎が歩いてきた。

「あ、長谷川さん。」

すると、宮崎の奴は私に声を掛けてきた。

「こんな時間にどうしたんですか?」

「何って・・・散歩?」

「え?もうこんなに暗いのにですか?」

「いや!夜桜っていうのも中々風流だからな!!」

必死に誤魔化す私。すると、宮崎はどこかホッとした様子で言った。

「でも、長谷川さんに会えて良かったです。昼間にあんな噂を聞いて少し不安だったから・・・」

「そっか・・・んじゃ、寮まで一緒に居てやるよ。」

「いいんですか?」

「まあ、どうせ散歩だし。」

本当は違うが、もしここで放っといてその吸血鬼とやらに襲われたら寝覚めが悪過ぎるからな。

「そんじゃ、行くぞ。」

「はい。」

そして、宮崎を連れて寮へ向かおうとする。だがその時、桜の木が揺れる音がした。風は吹いてなかったから何だろうと思い、二人で上を向いた。すると・・・私達の目に街灯の上に立つ魔女みたいなトンガリ帽子をかぶってボロボロのマントを羽織った小さな影が飛び込んで来た。

「25番 長谷川千雨に27番 宮崎のどかだな・・・」

「「っ!?」」

奴は何故か私達の事を知っていた。私はとっさに宮崎を後ろに庇う。

「悪いけど少しだけその血を分けてもらうよ。」

そして、奴…おそらく吸血鬼は飛びかかってきた。

「逃げろ!宮崎!!」

私はそう言って宮崎を突き飛ばす。その直後、吸血鬼が私の首筋に噛み付いた。

「ぐっ…!?」

首筋に何か尖った物が数本刺さる感覚があり、さらにそこから血液が吸い出される。宮崎の方を見ると、突き飛ばす力が強過ぎたのか桜の木にぶつかって気絶していた。

(まずい!このままじゃ私の次に宮崎の奴が犠牲に!!)

そう考えた時だった。吸血鬼は私の首筋から口を離すと思いっきり後ろに飛び退いた。一体何があったのかと私がその方向を向くと・・・

「オエエエエエエエエ!!!」

奴は私から吸った血を吐き出していた・・・って、何でだよ!?そんなに不味かったのか、私の血は!?助かったけどこれはこれで傷つくぞ!!!

「何と不味い血だ。機械油でも飲んだかと思ったぞ。」

しかも何だその例えは!確かに私は半分ロボットみたいなモンだけど、幾ら何でも血の代わりに機械油が流れている何て事は・・・無いと思う。

「まあいい。代わりに宮崎のどかの方の血を貰うとするか。」

すると、奴は私を無視して宮崎の方に向けて歩き出した。って、させるか!

「スーツオン!!」

私はそう叫びながら腕時計
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