第2話 隊長になった少女
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かって両手を伸ばす。すると、彼女の手に二丁のマスケット銃が現れた。彼女は躊躇いなくその引き金を引く。マスケット銃は一発しか弾が込められないので、撃った銃は投げ捨ててまた新たな銃を出撃させる。そして、引き金を引くのを繰り返した。その姿はまるで舞いを踊っているかのようである。発射された弾丸はハンガーの壁には当たらず、途中で弾けて無数のリボンとなった。リボンは互いに絡み合い、次第に形を成して行く。暫くすると、そこには設計図通りのロボットが出来上がっていた。
「あなたの名前は“ヴィットーリャ”。勝利という意味の名よ。その名の通り、勝利を掴んで来なさい!」
キャンデロロがそう名付けると、ロボット…ヴィットーリャは目を光らせた。
ダ・ガーンが初めて戦った日の翌日の放課後、れいと星矢は芽衣の家に向かっていた。彼女に代わって蛍の世話をするためである。
「にしても、親父も太っ腹だな。」
「そうね。」
星矢の言葉にれいは相槌を打つ。
「今回の勇者は親父の時とは違って軍の所属なのに、隊長のれいに今まで通りの生活をさせてくれるんだからさ。」
そう。れいは軍の所属になったにも関わらず今まで通りの普通の女子中学生としての生活を続けられる事となった。表向きには彼女が隊長なのだとバレないようにするためにカモフラージュと言う事になっているが、星史の計らいと言う部分が大きい。
「お父さんとお母さんも、そのおかげで私が隊長をやるのを納得してくれたし。」
昨晩、星史はれいの家にやって来て彼女の両親にれいが勇者の隊長になった事を説明した。最初はれいが隊長をやる事に反対していた両親だったが、星史が全力でサポートをするという約束をしたのと、れいが覚悟を見せたので了承してもらえたのだ。
「っと、話してる間に着いたぜ。」
そう言いながら星矢が親指で一軒の日本家屋を指差す。広いもののあちこちがボロボロでかなり古い物件だ。そう、ここが芽衣の実家である“桜小路家”である。
二人は門をくぐると、玄関の前に置いてある太鼓をチャイムの代わりに鳴らし戸を開けた。
「「お邪魔します。」」
「いらっしゃいませ。」
すると、一人の老婆が二人を出迎えた。この屋敷を任されているばあやである。
「そう固くなんないでくれよばあやさん。今日は芽衣の代わりに蛍さんの世話に来たんだからな。」
「色々と言いつけて下さい。」
そう自信満々に言う星矢とれい。だが、彼女達は後に後悔する事になる。
「まさか、屋敷中の掃除をさせられるなんて・・・」
割烹着姿の星矢が箒で畳の上をはきながら文句を言う。すると、後ろからばあやに尻を叩かれた。
「何を言っておられる。おひい様は毎週これをやっていると言うのに
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