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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第四十幕 「意地と意気地の二重奏」
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れるままの勢いで、アリーナの地面へと全力で叩きつけられた。大質量であるISが地表に激突したことによって大きな土煙が舞う。
「武装の展開が、早い・・・!」
「装備品の少なさを活かした
高速切替
(
ラピッドスイッチ
)
モドキ・・・すっかりモノにしてるみたいだね」
「俺の弟だからな」
高速切替とはシャルの十八番である高等技能だ。本来は大容量の拡張領域を使って量子化した武器を即展開できる量子構成直前の状態にセットしておくもので、拡張領域が狭い機体では行えない。
簡単に言えば戦闘状況に応じてすぐさま武器を切り替える“後出しじゃんけん”のような真似が可能な技能なのだが、ユウは少ない拡張領域を使って次に展開する武器“だけ”を状況に応じてセットしている。この使い方は非常にリスキーなため実践する人間はまずいない。もし当てが外れて別の武器が必要になった場合に量子構成のセットをいったん解除してから再度量子化しなければならないためにすぐさま相手に対応できなくなるからだ。
しかし、ユウは状況に応じた戦術変更の速さに優れている。だからこそこのようなハイリスクな方法でもあそこまで次々に戦法を変えて適切な武器を取捨選択して見せている。これもまた、兄を越えるためにあらゆる戦法を模索した結果身についたユウだけの技能だ。
だが、その言葉に反論するものもいる。それは、一夏とともに剣を振るった箒だ。
「それを言うならば一夏は私の弟子みたいなものだ。このままで終わるほど軟な奴ではないぞ?」
「そうね・・・諦めの悪さならあいつもユウに負けてないわ」
そして箒と鈴に応えるように、舞った土煙の中から眩い光が
迸
(
ほとばし
)
る。
「やられた分は・・・倍返しだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
砂塵を突き破るように姿を見せた純白のフレーム、いまだ健在の白式と一夏だ。
とはいえ既に残りエネルギーはとっくに半分を切っている。度重なるダメージに加え、“零落白夜”の発動で結構な量のエネルギーを消費した今の白式にこれ以上戦いを長引かせる余裕はない。
相対するユウと風花も、実はこれ以上戦いを長引かせるわけにはいかなかった。機体性能が反応速度を除いて全て白式に負けている風花は手の内を明かせば明かすほど不利になっていく。元々拡張領域がそれほど広くない風花にはこれ以上相手の虚を突ける武器は無かった。残された手段は懐に入り込んでバリアパンチの嵐を食らわせるくらいのもの。
「・・・懐に入らせてくれるか?いや、そうする必要がある!!」
正面から突っ込んでくる白式は次の接触で勝負を決めるつもりか既に“零落白夜”を発動させた弐型を握りしめている。
あれを掻い潜れればユウの勝ち。逆に掻い潜れなければ一夏の勝ち。
非常にシンプルで、本人たちの技量が最も試される瞬間。
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