最終話 夜景
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彩られた世界。
其処から地上に目を転ずれば――――
俺と有希の滞空する真下に存在する山の稜線を示す黒。其処から点々と……。少しずつ数を増やして行く家々の明かり。
其処から更に視線を移して行くと、俺の貧弱な語彙では、宝石箱をひっくり返した様、としか表現出来ない街の明かりが続く。
そう。黒から点々とした青やオレンジ。黒は不安。青は安定。オレンジは温かさを表現する。
そして、再び境界線を経て夜の海を指し示す黒へと至る。
しかし、ただ何となく、そう感じると言うレベルなのですが、山が示す黒と、海が示す黒とは似て非なるモノのような感じもしますし……。
もっとも、二人の女神が支配する夜と言う属性と、一千万ドルの夜景と呼ばれる景色。
そして……。
俺の腕の中に居る少女が、僅かに身じろぎを行った。
そう、この腕の中に居る少女が見せる幻の可能性の方が高いのですが……。
「人は闇を恐れ、その闇を切り開く事に因り自分たちの領域を広げて来た」
この場所。六甲山の遙か頭上から見下ろすとその事が良く判る景色でしょう。
それならば、あの色彩。眩いばかりの青や温かみの有るオレンジ。其処と黒の境界線が、此の世と彼の世の境目。
そして、その境目こそが、俺の本当の居場所と言う事に成るのでしょうか。
「今、この場所でわたしの情報連結を解除されたら、あなたはわたしの事を忘れない」
ゆっくりと、そのひとつひとつの言葉を俺に聞かせるように、俺の記憶に強く留めて置くかのように、彼女は小さな声でそう言った。
普段よりも少し身体を密着させるように、俺の首に回された彼女の両腕が強く引き寄せられる。
「半分正解、半分ハズレ」
まるで俺の方向に視線を向けまいとするかのように、地上を見つめる有希に対して、こちらも出来るだけゆっくりと、そう話し掛ける。
まして、彼女がそう言い出す理由も判りますから。
ただ……。
「有希の事を忘れない、……と言う部分だけならば正解。但し、それを為したいだけならば、出会って、契約を結んだ瞬間に条件はクリアしている」
無理に今、この場所で有る必要は有りません。
そして、多分、俺は彼女の事が……。
「思念体から、わたしの情報連結の解除通告が為された」
彼女の透明な横顔が蒼と紅、二人の女神に照らされ、より神秘的な雰囲気を漂わせる。
そう。メガネのレンズを通さずに見える彼女の瞳は、普段の理知的な輝きと同時に、普段以上に深い憂いを湛えて居るかのように感じられ、細面なあごのラインとすっと通った鼻筋。さらさらと柔らかい印象の紫の髪の毛が高いレベルで融合し、月でさえも恥じ入るような……そんな彼女の横顔が、俺の右肩の直ぐ前に存在していた。
「そ
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