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ヴァレンタインから一週間
最終話 夜景
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、つい先ほどまで、世界の命運を賭けて戦った人間の台詞だとは思えない雰囲気で。

「そうですか。では、後の事はすべて私にお任せ下さい」

 おそらく、その言葉の内に色々な意味を籠めて、亮はそう答えた。
 真冬の夜の大気が、彼のその言葉に因って微かに白くけぶる。

「信用していますよ」

 信用しない訳がない相手からの答え。しかし、その答えに対して報いるには、少しいい加減な雰囲気、と取られるかも知れない俺の答え。
 但し、その後ろに、

「すべての事に関して」

 ……と付け加えた。こちらも同じように色々な思いを籠めて。

 さて、それならば。
 俺は、この一連の流れの中で初めて、自らの右側に立つ少女に視線を向ける。
 その瞬間、彼女の視線と俺の視線が交わった。

 ずっと最初から俺を見つめていたのか、それとも俺が視線を移す気配を察して、彼女の方も俺に視線を移したのか。
 微かに視線のみで首肯する有希。表情は普段通り。但し、雰囲気に僅かな違和感。
 これは……。

「そうしたら、亮。それに……蓮花。久方ぶりに二人の顔を見られて、楽しかったで」

 有希が発する違和感に気付かない振りをしながら、短い別れの挨拶を行う俺。
 ただ、今回は今生の別れと成る類の別れの挨拶などではなく、長くとも七月七日までの短い別離。元々、湿っぽいのは苦手ですから、この程度の挨拶で充分でしょう。

 ゆっくりと首肯く二人。
 亮の方は、季節。そして夜に相応しくない柔らかな笑みを浮かべて。
 片や蓮花……いや、万結は、彼女に相応しい透明な表情を張り付けたままで。
 そう言えば、彼女はこんな時にどんな表情を浮かべて良いのかも知らない。俺と出会った当初はそんな、生まれた直後の人工生命体の少女でしたか。

 俺は、二人の浮かべる表情を心に刻み、有希に対して右手を差し出す。有る事の確認を行う為に。
 その差し出された右手を、少しの逡巡の後にそっと取る有希。その名前と、そして、冷たい冬の夜に相応しい属性の左手で。

 緊張から来る血管の収縮。更に、先ほど感じた違和感。ここから導き出される答えは……。

「おい」

 しかし、そんな俺の微妙な思考の邪魔をする空気の読めない男が一人。
 さっさと歩み去ろうとした俺の背中を呼び止める、身体中を縛めの鎖に覆われた黒の破壊神さま。

 そうして、

「俺には挨拶もなしに帰ろうと言うのか?」

 何事かと思い振り返った俺に対して、かなり意味不明の言葉を投げ掛けて来るラーフ。
 もっとも、俺自身はゴツイ筋肉に覆われた男を相手に愛嬌を振り撒くような、そんなアッチ系の趣味はないので男相手には基本は冷たい対応に成るのですが。

 ただ……。

「そうか、そいつはすまな
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