最終話 夜景
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なくこの場に現れる事もなかったでしょう。
「今回……。いや、多分、前回も一緒。俺が護りたい相手をアンタが巻き込んで仕舞ったから、俺がこの場に現れた。世界を護る英雄と成る為にアンタの相手をした訳ではない」
俺が護りたかったのは世界では有りません。其処に住んでいた、たった一人の少女を護りたかっただけですから。
結果としてはどちらも同じだったとしても、心構えが違いますから。
まして、伝承の方でも主は八百比丘尼。一目連は従。
その一目連が前世の俺ならば、その時の俺も今の俺と考え方は一緒。要は八百比丘尼と伝承で言われている少女を護りたかっただけでしょうから。
俺の言葉が冬の夜気に白く散じ、夜が更に深い時間帯へと移り行く。
その瞬間、校門の方向からゆっくりと近付いて来る二人の人影。
そのふたつの人影は俺と有希、二人の影を踏まない位置にすぅっと立ち止まり、世界の未来の為と見せかけて、実はたった一人の為に戦った不心得者の姿を見つめる。
そう。ふたりが見つめていたのは、有希でもなければ、捕らえられたラーフでもなく、俺。
その新たに現れた二人を、最初の男性を興味無さそうに見、其処から続けて、彼の傍らに佇む紅い瞳の少女を見た瞬間、鎖に因り雁字搦めに拘束されたラーフから、奇妙な気が発せられた。
しかし、其処まで。其処から先の台詞を、ヤツは何も語る事は有りませんでした。
類推する事は可能ですが……。
もっとも、そんな事はどうだって良い事ですか。前世で、伝説の破壊神ラーフと戦った際に俺の隣に誰が居たのか、などと言う些細な事は。
むしろ今、重要なのは……。
「ただいま、蓮花」
俺は、月下に佇む蒼銀色の髪と紅い瞳の少女にそう話し掛ける。
今の彼女の名前ではなく、俺の記憶の中に有る彼女の名前を……。
俺の呼び掛けに、二人の少女から異なった気が発せられた。
蒼髪紅瞳の少女は、どう答えて良いのか判らない戸惑いと、そして、喜びに似た雰囲気が。
紫髪メガネ装備の少女からは驚きに彩られた気が。
しかし、蒼髪紅瞳の少女の迷いは一瞬。微かに首肯いて見せた後、
「お帰りなさい」
……と、有希に良く似た声、抑揚の少ない話し方でそう答えてくれる万結。いや、俺の知って居る名前で呼ぶのなら蓮花。
そして、彼……水晶宮現長史和田亮が現れたと言う事は、俺と有希のこの場での役割は完全に終了したと言う事。
それならば、
「そうしたら亮。俺と有希はもう帰らせて貰うわ」
そんな、かなりお気楽な俺の言葉が発せられた。
まるで、気の置けない友人たちと何処かに遊びに出掛けた際の別れの間際のような言葉及び口調。どう考えても
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