最終話 夜景
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不死性に因り傷を完全に回復される前に転移させる。
こんな神業を為せる訳はないでしょう。俺のテキトーでいい加減な脳ミソでは。
そう。この戦いで行使した本当の奥の手とは、因果律を操る方法。
結果を完全に読み切らず、寸前までで止め結末を曖昧にする事に因って、限りなく成功率の低い作戦が初めから失敗する事が判って居る作戦に成る事を防ぎ、逆に成功する可能性の高い作戦へと導く。
今回の場合で説明するのならば、ラーフが炎に巻かれ、その瞬間に俺がヤツの身体に傷を付ける。ここまでを予測し、ここから先に針がヤツの身体に刻まれた傷痕に対して確実に転移されて、ヤツの身体が特製の鎖で覆われるかどうかはまでは予測しない。
命中するかどうか。宝貝が額面通りの効果を発揮するかは、蓋を開けてみないと判らないパンドラの箱として残して置く。
こんなイカサマ臭い方法は早々使用出来ませんが、ここ一番。一打逆転を狙う時にならば、かなりの効果が有るはずです。
絶対の条件として必要なのは、相手が因果律を操る職能を有していない神性ならば使用可能、と言う事なのですが……。
「まぁ、いいか」
黒の破壊神が、俺と有希の顔を順番に見つめた後、呟くようにそう言った。
先ほどまでの、敵愾心をむき出しにしていた雰囲気などではない、かなり穏やかな気を発しながら。
そうして、
「オレは神々以上の不死性を持って居る。この職能を果たす為に……」
太陽星君の牢獄に何百年か閉じ込められたとしても、その後に再戦を挑めば良いだけの事だから、そう、穏やかな口調で続けたのでした。
どう考えても、先ほど世界を滅ぼそうとした暗黒の破壊神とは思えない雰囲気で……。
但し、
「あぁ、そう言えば言い忘れていたけど、次は多分、俺は関係ないで」
普段通り、かなり軽い感じの口調で少しキツイ内容と成る台詞を口にする俺。
まして、今回は色々な理由から俺がこの伝説の破壊神ラーフの相手をする事と成りましたが、次は……何時に成るのか判らないけど、その次に彼が顕われた時まで俺が出張って来なければならないような事態に発展するとは思えませんから。
しかし……。
「キサマは前の時にも同じ事を言っていたが、結局はここに現れた。それが答えだろう、英雄どの」
矢張り、何か勘違いしている伝説の破壊神。確かに、ヤツは英雄と言う存在に倒されたと思う方が精神を安定させ易いのでしょうが……。
ただ、
「多分、その辺りが間違っている。俺は別に世界を救う為にここに現れた訳やない」
俺は右側に立つ少女を感じながら、上目使いに俺を見る破壊神に言った。
そう。そもそも、英雄と成るべく世界を救え……では俺のやる気は下がりまくり。そんな状態ならば、間違い
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