第二部 文化祭
第22話 調理実習
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
家庭科。正直あまり得意ではない教科。超一般的な実技科目だけど、魔法級に苦手だ。
そして現在、家庭科室にて絶賛家庭科受講中で、調理実習をしている。
「もう、キリト君! どうして卵焼きも作れないのよ」
アスナが横で叱責してくる。
「いや、だってさ……巻くの難し」
「あっ、ちょっと! ほら、よそ見してるからぐちゃぐちゃになっちゃったじゃない!」
アスナは俺のフライパンを覗き込むと、眉間にしわを寄せた。
「……なにこれ? スクランブルエッグ?」
「うるさいなほっといてくれ! ……卵焼きなんて、卵焼いたらそれでいいだろ」
──なんか怒られたけど、元はと言えばアスナがいきなり話しかけてきたからである。
なのによそ見しちゃいけないとは、高難度すぎる依頼だ。
「……キリト君、卵焼きっていうのはね」
──なんか語り出したので、聞き流しておく。
*
「まったく、どうして包丁もロクに使えないのよ。恥ずかしくないの? トップ剣士として」
「いやいや、包丁と剣は一緒にするなよ」
アスナは「貸して」と俺の包丁をもぎ取ると、くるりと空中で回した。
「……ちょっと見てなさい」
普段は口うるさいとことか、?閃光?って感じなとこばかり見ているので、家庭的なアスナは少し新鮮だ。
得意気に林檎の皮を剥くアスナは、なんだか普通の女子高生っぽくて可愛らしかった。
「……どう?」
いつの間にか剥き終えていたらしいアスナが訊いてくる。途中で切れたりすることなく、見事に剥けている。
「……料理でも閃光のアスナですね」
俺が言うと、アスナにジト目で見られた。
「……可憐さを褒めたつもりなんだけどな。」
俺の呟きはアスナの耳には届かなかったらしい。
「ていうか、包丁も使えないなんて正直びっくりよ。そのフルーツナイフ、持ち歩いてる意味あるの?」
俺はフルーツナイフを常時装備している(あくまで果物を食べる為)。
「……『かれんさをほめたつもりなんだけどな』」
いつの間にか家庭科室に入ってきていたユイが言う。
──って!
「ユイ、俺の呟きを拡散しないでくれ!」
「ママ、パパの言ったこと聞こえてないみたいだったから」
残念ながら、ユイの言葉はアスナに聞こえているらしい。
「あ、あのなアスナ、これは違」
「……『アスナさんがお気に入りに登録しました』」
アスナがボソッと言う。
──アスナは某国民的SNSを知ってたんだな。
「って、お気に入り登録!? いやいや、サッサと忘れてくれ!」
「嫌よ。絶対に忘れない……忘れられないもん。………結構、嬉しかったんだから」
真顔で言うアスナ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ