第三十八話 少年期【21】
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緒のレースなのね」
「じゃあ、やっぱりあの子であっていたのか。……そして、少女Dは俺と同じレースなんだな」
「えぇ、よろしく」
俺の隣の第2コースで、同じように第3レースを眺めていた少女Dと目が合った。よりにもよってやっかいな相手と当たったな。他の児童の実力はわからないが、少なくとも彼女が魔導師としてできる分類に入るのは知っている。さらに武術も嗜んでいるため、もし彼女と対戦なんてことになったら、高い確率で俺は負けると思う。卑下でもなんでもなく。
だけど今回はレースであり、魔法はあくまでおまけだ。彼女相手でも、やっぱり勝ちに行きたい気持ちは変わらない。魔法は障害物を取り払う時以外は禁止されているため、対戦相手に攻撃したら失格になる。走力なら少女Dとそう変わらないため、勝てる可能性はあるはずだ。
「うーん、やっぱり借り物のデバイスじゃいつも通りは難しそうね」
「俺もストレージデバイスを使うのは初めてだな。個人持ちはカスタマイズしているのが多いから、公平さを出すためには仕方がないんだろうけど」
「それに最大出力もかなり抑えられているわ。魔法を暴発させる危険性をなくすためなのはわかっているんだけどなぁ」
彼女はちょっと不満そうにしながら、自身の拳に装着されたデバイスを眺める。少女Dのデバイスはアームドデバイスと言い、デバイスそのものが武器としての性能を持つベルカ式のものだ。クラ校では杖を持つ人が大多数だから、珍しくて興味はある。今度時間があったら彼女のデバイスを見せてもらおう。
そんな感じでスタートを待っていた俺だったが、現在はそんなことを考える余裕もなくなっていた。
「ゴールしたのは6人中2人だけか…」
シミュレーターによって作られたコース。見た目は他のグラウンドのトラックと何も変わらないが、ところどころにホログラムの仕掛けが施されていた。その仕掛けによって、参加人数のほとんどがゴールすらできない状態であった。
本気すぎるだろ、これ。魔法要素含まれるとここまで容赦がないの? さすがは魔法=戦闘力のような世界。シビアだ。これが第2レースまで終わったこの競技を見ていた俺の感想である。レースが始まる前にどんなコースでどんな障害があるのかと説明は受けていたが、ここまでたどり着けないやつが多いとこちらも不安になる。
「時間制限とダウン効果がやっかいね。1年生は障害は2つだけみたいだけど……」
隣で少女Dがぶつぶつとこの競技について考察しているようだ。実際障害は2つだけで、あとは走るだけになっている。1つ目の障害は飛来してくるものに当たらない様に走り抜けるものだ。飛来物はホログラムで作られたボールで、速さはランダムで出現個数もバラバラ。一応もし本当に当たりそうになったら、すり抜けるようになっ
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