第三十八話 少年期【21】
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の時に1回見ただけだから詳しくは知らない。だけど初等部代表の先輩は何回か練習で見たし、レティ先輩の友人さんらしいと聞いていたのでちょっと親近感がわくな。黒髪と黒目の男の先輩で、今もキリッとした表情のまま背筋を伸ばして立っている。
あんな風に学校代表になるには、成績が良く、さらにリーダーシップがある人を児童と教員の両方から意見を出して選ばれる必要がある。彼は成績も人望もあり、さらに普通に女の子にモテそうな顔立ちの先輩だった。本当にいるんだなー、こういう人。ただレティ先輩から友人だと聞いたときに俺がそう呟くと、何故か乾いた笑みを浮かべられたが。
『あぁー、うん。あいつ自身は真面目で良いやつなのは間違いないぞ。そこは間違っていない。あぁ、そこは間違っていないはずだ』
詳しくは聞かなかったが、あのレティ先輩の態度のおかげで、たぶんどこかしらぶっ飛んでいる人なのだと察することができた。レティ先輩の友人さんだし、きっと類は友を呼ぶのだろう。レティ先輩も良い先輩であることは間違いないけど、俺も紹介しようと思ったら歯切れが悪くなる気がしたので。
「あぁー、ようやく挨拶が終わったな。あ、確か俺たちの最初の競技って次の次だから、もう入場門に並んでおいた方がいいのかな」
「そういえばすぐにあったよね。……うん、みんな少しずつ移動しているからあっていると思う」
「お、じゃあ早めに行っとくか」
1年の待機場所に戻って、俺はプログラムを眺めながら疑問を口にする。そしたら、俺の近くの席で水筒のお茶を飲んでいた少年Aが答えてくれた。後から並ぶのって大変だし、先に向かっておいた方が楽だな。俺は一つうなずき、せっかくなので友人と一緒に向かうことにした。
「それにしても、すごい見学者の数だよね。俺の家族はどこにいるんだろ」
「確かにな。これだけ人がいると、見つけるのは難しそうだな。俺の家なんて、母さんとデバイスと猫だから、周りに埋もれてしまっているかもしれないな」
俺は肩を竦めながら、子どもの晴れ姿を見ようと集まっている保護者の方々を見まわす。保護者の気持ちがわからないわけではないが、やっぱりちょっと恥ずかしい気持ちはある。でもせっかくなら良いところを見せたいという気持ちにもなる。やっぱり、なんだかんだでこうして見に来てくれるのは嬉しいんだと俺は思う。少年Aも少しそわそわしているし。
母さんたちがどこにいるのかはわからないけど、精一杯頑張らないとな。みんながどこにいたって問題がないようにしよう。それに、こういうイベントは目立ってなんぼだし。危なくなければ、ちょっとぐらい羽目を外したって大丈夫だよな。
「……ねぇ、アルヴィン」
「ん、どうした」
「あれ、もしかして君のお母さんだったりする?」
あれって? 少年Aの
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