第五十話 政府の判断その十
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「そもそも自分達と違う考えだからと排除することは間違っています」
「だからですか」
「ああした考えは理解できません」
「魔女狩りとか宗教戦争とかは」
「間違っていました」
バチカン批判になりかねないが大石は言い切った。
「キリスト教は寛容であるべきなのです」
「では神父さんもプロテスタントや正教の方々とも」
「仲良くさせてもらっていました」
実際にそうしていたというのだ。
「それも非常に」
「ですか」
「はい、その神父にならせて頂きました」
また謙遜する調子で上城に述べる。
「それで今に至ります」
「そうですか」
「それで八条大学ですね」
話がそこに戻った。
「あの大学に進学されますか」
「まあエスカレーターになりますけれど」
「いいですね」
それもいいと言う大石だった。
「では頑張って下さい」
「はい、そうします」
「尚神父は公では結婚できないので」
「公、ですか」
「実際には。内密ですが」
子の辺りは微妙である。
「結婚している方もおられます」
「実際にいるんですね、そういう人は」
「はい、おられますが」
「神父さんはどうされるんですか?」
「私はそのつもりはありません」
それは決してだというのだ。
「生涯独身になります」
「ううん、それって辛いですね」
「日本では仏教の僧侶の方でも結婚されていますね」
「そうなりましたね」
「はい、明治からです」
この辺りの制度の変換はかなり混沌とした状況で行われており歴史的に調べると面白いものがある。
「あと髪も最近は」
「ある方が多いですね」
「宗派によるみたいですけれど」
「私もありますが」
修道僧の様に頂上を剃ってはいない。
「ただ。シスターですが」
「カトリックのシスターの方ですね」
「あの方々は短くされています」
つまりショートにしているのだ。剃ってはいないがそうしているのだ。
「あの覆いの下はそうなっています」
「そうでしたね」
「意外と知られていないかも知れませんが」
「僕も最近まで知りませんでした」
「剃っていると思われていましたね」
「日本じゃそうでしたし」
仏教の尼僧から上城はそうイメージしていたのだ。
「尼さん剃ってますから」
「ですね。ですがそれも」
「剃っていない尼さんも増えています」
そちらもだった。
「普通に髪の長い方もおられますし」
「おられますね、確かに」
「お寺の奥さんもおられますし」
結婚出来る様になったから公にいるのも当然だ。
「そうした方もですね」
「あの方々も僧侶の資格を持っておられることが多いですよ」
「そうですか」
「そうです。私はこのことを大学で知りました」
その八条大学宗教学部でだというのだ。
「少し驚
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