第五十話 政府の判断その七
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二人はこのことを大石にも携帯で連絡した。大石はそれを受けて上城に対して直接話した。
上城は今丁度教会に来ていた、そこで話を聞いて言うのだった。
「アメリカ軍の大尉さんですか」
「はい、空軍のです」
「その人が十人目の剣士ですか」
「そして戦うことを選んでいます」
「アメリカの栄光の為ですね」
上城は話を聞いて言った。今二人は教会の礼拝堂のところにいる。
ステンドガラスの青や黄色、そして緑の光に黄金の主が照らされている。大石はそのキリストを見ながら言うのだった。
「それも永遠の」
「アメリカの為に戦っている方です」
大石はこう上城に話した。二人は主の前に向かい合って立っている。
「そうした方です」
「ですか。けれど」
「それでもですね」
「はい、僕はどうも」
上城は難しい顔で大石に話した。
「そうしたことは」
「軍人は祖国の為に戦うものです」
「自分の為じゃないんですね」
「そのスペンサー大尉は人としては素晴らしい方です」
「紳士なんですね」
「その様です。ですが」
大石は確かな声で上城に話す。
「彼はです」
「戦いを選ばれるんですか」
「そうです、アメリカの為に」
「戦い、そしてですか」
「アメリカを永遠に世界のリーダーにしたいと考えておられます」
「あの、そのことですが」
上城は難しい顔になって大石に述べた。
「アメリカという国がどうかというよりも」
「一つの国が永遠にリーダーであることはですね」
「それはよくないことですよね」
「一つの国が永遠に盟主であればどうなるか」
大石もその上城に話す。
「その国が腐敗すればです」
「そしてその国が思いたいがままにすれば」
「大変なことになります」
ペロポネソス同盟のアテネだ。アテネは次第に奢り昂ぶり自分達のしたいように振る舞いだしたのである。
大石もこうしたことを危惧して言うのだ。
「一つの国が永遠にリーダーに留まるべきではありません」
「その通りですね」
「はい、そうです」
こう言うのだった。
「絶対にです」
「そうですよね。じゃあ」
「大尉の考えもよくありません」
大石は断言した。
「アメリカの為にはいいでしょうが」
「他の国の人にはよくないですね」
「ですから彼も止めるべきです」
「では大尉とも」
「戦うべきですね」
「そうですか」
「そうです。とはいえ私達はその大尉とまだ会っていません」
このことも確かだった。彼等はまだスペンサーとは面識がないのだ。
それでこう言うのだった。
「実際に一度お会いしてみたいですね」
「ですよね、本当に一度」
「その機会があればいいのですが」
「ええ、本当に」
上城も答える。
「まずはお会いしてですね」
「それから
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