第9話 「手は届く。目は届かない」
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皇太子のご威光というのも、大したものかな?」
殿下が笑いました。でも……どこか、寂しそうな笑みです。
早く元気になって欲しいです。
いつもの殿下。
強気で、行動が早くて、明るい。そしてどこか楽しげな。
「しょうがねーなー。俺、皇太子だしなー。帝国宰相になっちまったしなー。落ち込んでてもしょうがないか、はぁ〜」
「殿下?」
「あがくだけ、あがいてやるさ。なーラインハルトにキルヒアイス。そこに隠れてないで、出て来いよ」
「ラインハルト、ジーク。もう〜」
振り返ると、二人がひょこっと顔をだしました。この二人も殿下の様子が、気になっていたのでしょうか?
「なあ、ラインハルト。宇宙を手に入れるという事は、手が届くのに、目が届かない。そういう状況になるって事だ。そしてその重みに耐えるって事だ。自分の手の長さに気づいて、怯えるなよ」
「なっ。そ、そんなこと……」
「ま、気にすんな。いずれ分かるさ。さー問題を片付けていくか」
■宰相府 リヒテンラーデ候クラウス■
軍務省が知らせが入ってきた。
叛徒どもが懲りもせず、イゼルローンへと攻め込むらしい。
いそいで宰相閣下にお知らせする。
「懲りねえなー。これで何度目だ?」
「四度目ですな」
「そんなにイゼルローンが欲しいかよ。あんなもん、壊すだけなら簡単だろうに。石ころ拾ってきて、ぶつけりゃいいんだ。一〇個も投げれば、十分だろう」
「そう簡単に壊されては、たまったものではありませんな」
「小惑星をぶつける気ですか?」
「いかんか? いくらでも落ちてるだろう。投げりゃ飛んでくぞ。あとはほっとけば、勝手に当たってくれる。当たらなくても、当たるまで何回でもやりゃいいんだ。艦隊率いて、来るよりは労力はかからんしな」
「艦隊も石を投げつけられれば、怖いですね。ラインハルト様」
「流星群をすり抜けろと、言われるようなものだからな」
皇太子殿下の余裕には、こちらの方が驚かされる。
この方をアッと驚かしてみたいものじゃ。
「じじいが、裸踊りでもしたら、驚くさ」
「絶対にしませんぞ」
そう言いつつも、皇太子殿下がアンネローゼの方を見ましたな。
おおー。ラインハルトがその前に、立ちふさがったわ。
それにジークもじゃ。息が合っておるのー。
「見たくもねえな。とこかくミュッケンベルガーに増援に向かわせろ。ああ、ついでにオフレッサーに言って、例の連中も連れて行け」
「ああ、あの連中ですか、ようやく初陣ですな」
「役に立ってくれるといいが……あっ」
「なんですかな?」
「連中に一発だけ、レーザー水爆ミサイルをバズーカ砲にして、持たせてやろう」
「意味無いですぞ」
「なくて構わん」
いったい何を考えているの
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