第81話
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「さっきまで何も話さなかった恭介さんが、自分から何かをしたいと言い出しました。
私は恭介さんの意思をくみ取りたいと思います。
この街で恭介さんは少しだけ回復しました。
此処にいる事で少しずつ回復していく可能性があると思います。」
「だが、小学生の恭介を置いていくわけには。」
「それなら、私が面倒を見ます」
竜也達の側にいた桔梗が突然言い出した。
「彼が一人で自立できるまでの間だけですが、私が面倒を見ます。
それでよろしいではないでしょうか?」
「どうして、突然そんな事を?」
「少しだけですが気になるんです。
あんな小さな子供がなぜ、ああなってしまったのか。
それに私は子供が好きなんです。
昔は教師を目指していたんですよ。」
最後の方に関してはあまり理由になっているように聞こえなかったが、秋葉の説得もあってか麻生はこの学園都市に残る事になった。
そして、今に至る。
三人は話しながら歩いていると気付いた時には、競技場についていた。
「それじゃあ、俺も此処でお別れだ。
次の競技まで時間があるしな、どこかで時間でも潰してるよ。」
「時間があるのなら、もっと一緒にいないか?」
「何気持ちの悪い事を言っているんだ。
心配しなくてもちゃんと競技は出る。
それに眠いし、どこかで昼寝でもしたいんだよ。
だから、父さん達は一番良い席でも取って待っていてくれ。」
「竜也さん、恭介さんにも色々予定があるんですから、無理に引き止めたら駄目ですよ。」
「仕方ない、ならまた今度にでも。」
「分かったよ。
それじゃあな。」
そう言って麻生は二人から離れようとしたが、足を止めて振り返る。
そして、視線を少しだけ逸らし、恥ずかしそうに言った。
「すまなかった。」
「「え?」」
「小さい頃、迷惑かけて・・・・その・・ごめん。」
二人はただ唖然としていた。
そして、竜也は乱暴に麻生の頭を撫で、秋葉は涙を流していた。
「だあああ!!母さん泣くな!!
それじゃあな!!」
そう言って珍しく恥ずかしそうな顔をしながら麻生は去って行った。
秋葉は涙を拭きながら言った。
「此処に連れてきてよかったですね。」
「ああ、本当に良かった。」
静かに二人はそう心から思うのだった。
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