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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
五十六話:切ない別れの時
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がら口を開こうとしたところで、またもヘンリーが割り込んできました。
うん、わかってたし。
いいけど、別に。
候補からは、完全に外れたところだし。
「……人払いも、長くは
保
(
も
)
たないだろ。いい加減、行くなら行こう」
少々イラついた感じのヘンリーの態度に、ヨシュアさんがふっと微笑みます。
「……そうだな。すまなかった。妹とドーラさんを、頼む」
「妹さんはともかく、ドーラのことを頼まれる筋合いは無い」
「そうだな。それでも、頼みたい」
「……わかった。達者でな」
……うーん。
ヨシュアさんから、大いなる誤解の気配を感じますが。
変に誤解を解いて、期待持たせるのもなあ。待たないし。
……まあ、いいか。
と、少々不本意ながらも誤解は放置することに決定して、ヨシュアさんとマリアさん、リンガーとヘンリーがそれぞれ言葉を交わし合うのを横目に、乗り込む予定のタルを確認します。
うん、狭そう。
元々死体一人分を入れる想定なんだろうから狭いのは仕方ないし、あんまり広くても中で叩き付けられる危険が増すだけだから、いいけど。
ヘンリーとマリアさんでフラグが立ってれば、接触も推奨したところだが。
立ってない現在、マリアさんの操(というほどのことでも無いが)は私が守らねば!
「よし、ヘンリー。先に入って」
「……おう」
素直に入ったヘンリーに続いて、私が入ります。
「……おい、ドーラ」
「さあ、マリアさん。こちらに」
「はい」
私の促しに応じ、可愛らしく頬を染めたマリアさんが、私の腕の中に収まります。
はー、役得、役得!
「おい。ドーラ。……この体勢」
「なにか、問題でも?」
ヘンリーの腕の中に収まった私が、更にマリアさんを抱き込むような形になってますが。
「問題……無いのか……?」
「こうしないと、肘とかぶつかったら痛いじゃない!場所なら代わらないよ!」
本命でも無い男にマリアさんを抱かせるなんて、とんでもない!
「いや……それはいいけど……」
「私はとりあえず、マリアさんを死守するから!ヘンリーは適当に、腕突っ張るとかなんかしてて」
「……わかったよ」
なんか諦めたような感じで、溜め息を吐くヘンリー。
なんだ、今さら何が不満だ!
聞く気は無いが!
「では、ヨシュアさん。お願いします」
「ああ。ドーラさん、ヘンリーくん、マリア。……元気で」
ヨシュアさんによってタルの蓋がきっちりと閉められます。
視界が真っ暗になり、改めてしっかりとマリアさんを抱え直すと、ヘンリーもしっかりと私を抱き締めてくる気配が。
「ちょっと。ヘンリー」
「黙ってろ。舌噛むぞ」
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