論理回路と幻想殺し
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「一歩右へ。三歩前に歩いて、一時停止。目の前を火の玉が通り過ぎたのを確認したら、五歩下がります。ここから一気に・・・ダッシュ!」
「!?なんでだ!?なんで当たらねぇ!?」
目の前の不良の悲鳴をBGMに、俺は手にした警棒を突き出す。この警棒は、学園都市の特殊素材で作られていて、ゴムのように伸び縮みする上に、金属としての硬度も保たれるという不思議素材だ。熱にも冷気にも強く、力加減を間違えても致命傷を与える事が無いため、こういう不良共を無力化するのには凄く便利なのだ。
「ほいっと。」
走りながら、首をほんの少し傾けると、ついさっきまで俺の首が合った部分を、電撃が走り抜けた。俺という標的を失った電撃は、俺を囲んでいた不良の一人へとブチ当たり、悲鳴を上げる暇もなくそいつは黒焦げになって昏倒した。
「そもそも、囲んでいる状態で遠距離攻撃をするって、同士打ちになる可能性に気がつけないのかね?」
最もな疑問を抱きながら、先程から炎を上空から雨のように降り注がせていた男の喉に警棒を突き出す。
「グエ!」
潰れたカエルのような声を出しながら、その男は吹っ飛んでいった。これで、このグループで一番強い男は潰したことになる。何と、スキルアウトの連中とつるんでいた癖に、今の男は大能力者だったのだ。予め炎が降ってくる場所とタイミングが分かっていたとは言え、雨のように降り注ぐ炎を躱し続けるのは難しかった。相手には余裕そうに見えていただろうが、実際は結構焦っていたんだぜ?
「クソ!なんだよお前は!何なんだよお前は!!!」
ヤケになったように電撃を飛ばす男。三十人もいた仲間は全て倒され、残っているのはこの男だけなのだから仕方がないとは言え・・・余りにも情けない姿だ。それに・・・
「俺のこと、知ってて襲ってきたんだろ?なら、俺の能力の事も知っている筈だ。」
「”論理回路”・・・。『完全未来予知』なんて・・・ありかよ・・・・・・!!!」
その男の絶望した顔を見ながら、つい苦笑してしまう。『完全未来予知』なんて嘘っぱち。『ほぼ百%当たる未来予知』では何となく強そうに見えないから吐いた嘘だ。現に、『完全未来予知』だと世間に公表している現在でも、こうやって俺を倒そうとしてくる馬鹿どもが絶えないのだから。
「本当は、お前らを相手にするのなんて面倒くさいから逃げようかとも思ったんだけどよ。お前ら、しつこすぎ。何日も何日も付きまとって、最終的には街中で襲われる未来が見えたから、もう今ここで潰しちゃおうと思って。」
俺は、あまり争いごとは好きではないのだ。能力が戦闘向きではないという理由もある。俺の身体能力は、一般人よりも少し鍛えられている程度なのだ。沢山の不良と戦うなん
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