二章 剣と拳のファーストアタック A
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腕に着けている簡素な時計が午後四時を回ったころ、サラと京介は地区外れの集会場に向かって歩いていた。
「え〜っと…この辺りだったか?」
手に持っている学園の地図を見たり、周囲の建物を確認したりしながら京介はサラに問いかける。
「そんなこと知ったこっちゃないです。付き人なんですからしっかりしてください。……ハァ〜…」
そんな京介の方には見向きもしないでサラは辛辣な言葉を吐き、わざとらしくため息をつく。
「なんで小春さんじゃないんですか…私の計画では今頃キャッキャウフフなデートになってるはずだったのに…なのになんでこんな人と二人っきり…神様、私なにか悪いことしたのでしょうか…」
『おーい、本音漏れてるぞー。それに一応俺先輩なんだからちょっとは敬ってくれても』
「京介さんのどこを敬えと?あなたに見習うものなんて皆無です!」
『おぉう、今日は一段と毒を吐くなお前…』
サラは今日は格段に機嫌が悪い。
小春が隣にいないこともその要因の大きな一つなのだが、それ以外にも自身にとって邪魔者でしかない京介との二人っきりの現状がどうも気に入らないようだ。
「だいたい京介さんはこの前も小春さんと二人っきりだったじゃないですか!たまには私にもその幸せを譲ってくれてもいいと思います!」
『待て待て!あれはただの部活集会の付き添いじゃないか、なにも望んで…』
「キィィィー!!なんて贅沢なことを!!帰ったら打ち首獄門です!」
サラはポケットから取り出したハンカチをまるで引きちぎるかのように噛み締める。
こんなこと一昔前のお嬢様でもやらないような悔しさの表現方法だ。
「それは流石に勘弁してほしい…ってそんなこと言ってる間にそんなことよりもう目的地が見えたぞ?」
そう言って京介は前方を指さす。
そこにはあまり綺麗とはいえないこじんまりした公民館のような建物がある。
「最高の設備が売りの如月学園にもこんな所で練習している人がいるんですね」
『いや、たしか日本拳法部自身からここで練習したいと申し出たって噂を聞いたことがある』
「また物好きな連中ですね…まぁいいです。さっそく殴り込んで宣戦布告を……あれ?」
会話を途中で切り、サラは前方の建物入り口に目を凝らす。
「どうやら先客のようですね…」
見るとそこには日本拳法部の人であろう道着を着た数名と、なにやら柄の悪そうな派手な金髪の男がいる。
「でもなんか様子が変だ。行ってみよう!」
二人は駆け足でその場に向かう。
近くに
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