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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-37激情と本懐
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ま、待ってくれ!……そうだ!俺は、騙されていたんだ!騙されて、魔物に、操られて!だから、俺の本意では、無かったんだ!」
「また都合良く記憶が戻ったもんだな」
「キングレオの王子でも、ここまで酷くは無かったね」
「待て!だから、その」
「いい加減、見苦しいぜ」
「生きて償うことを認めるには、あなたの罪は重すぎる。少なくとも、僕たちは許せない」
「親父を殺すだけでなく、妙な秘法まで広めちまいやがって。尻拭いさせられるのも不満だが、てめえにゃもうなんも期待してねえ。せめて、死んで償え」

 いよいよ呪文を放つ態勢に入る兄弟と、標的になるバルザックの姿を、ライアンが少女の視界から隠そうとするが、少女が止める。

「ライアン。わたしは、見ないといけないの。わたしも、同じだから」
「ユウ殿。……わかりました」

 兄弟が、呪文を放つ。
 命乞いの言葉は、呪文が放たれた瞬間に、恐怖の悲鳴に変わり、更に断末魔の叫びに取って代わり。

 やがて、バルザックの命と共に、消えた。


「……終わったな」
「……そうだね」
「……すっきりするってもんでも、ねえんだな」
「……そうだね」

 少女が、兄弟に歩み寄る。

「……マーニャ。……ミネア」

 兄弟が、少女に笑いかける。

「大丈夫ですよ」
「ちっと、気が抜けただけだ。心配すんな」
「……うん」

 少女が、今度はアリーナに向き直る。

「アリーナも、大丈夫?」

 アリーナが、しっかりと頷く。

「ああ。奴は何も知らなかったが、逆に言えば、悪い情報も知らなかった。状況は変わらないが、悪くはなっていない。城に居座る魔物も、親玉は倒したから、あと少し掃除でもしていけば、ひとまずは問題無いだろう」
「そう。……そうね。それじゃ、残りの魔物を。倒しに、行こう」

 頷き合い、動き出そうとしたところで、アリーナ、ライアン、少女が魔物の気配を察知し、身構える。
 他の仲間たちも三人に(なら)い、警戒を高める。


 と、バルザックの(しかばね)を囲む形で、数体の魔物が現れた。

「実験は、失敗だったようだな。デスピサロ様に、報告せねば」
「進化の秘法を完成させるには、やはり黄金の腕輪が必要なのだ。暗黒の力を増幅させるという、黄金の腕輪」
「黄金の腕輪を手に入れ、進化の秘法を完璧なものとしたとき。そのときこそ、我ら暗黒の種族の時代が来ようぞ」

 一行の姿など目に入らぬ風に、バルザックの屍だけを見詰めて話し合っていた魔物たちは、話し終えるとまた唐突に姿を消した。
 同時にバルザックの屍も、掻き消える。

「なんだ、今の。実験?とか言ってやがったな」
「進化の秘法の、実験、をしていたのか?ここで、バルザックで?」
「黄金
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