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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-37激情と本懐
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進み、間も無く玉座の間に到達した。

 玉座に座る貧相な男を認めて目を細め、低い声で呼びかける。

「……お前。誰の許可を得て、そこに座っている」

 貧相な男は、気怠げに顔を上げ、高慢に応じる。

「私の城で何をしようと、私の勝手であろう?誰の許可も、必要無い」

 あくまで低く抑えた声で、アリーナが続ける。

()()()るな。この城は俺たちの城で、それは父上の玉座だ。貴様如きが、戯れにでも座って良いものでは無い」

 気怠げだった男が、興を引かれたように、皮肉な笑みを浮かべる。

「ほう?これは、傑作だ。滅んだ城を打ち捨てた王子が、今になって惜しくなって、戻ってきたか!残念だったな!既にこの城は、我が手に落ちた!この城も玉座も、亡国の王子には、過ぎた代物(しろもの)よ!最早(もはや)王子とも呼べぬ者が、偉そうなことだな!」

 淡々と、アリーナが応じる。

「お前のような小物(こもの)と、語る言葉も惜しいが。一度だけ聞こう、この城に居た者たちの、行方を知っているか?」

 男の眉が、ぴくりと動く。

「はっ!進化の究極を極め、神にすら近付いた、この私を!言うに事欠いて、小物とは!虚勢もそこまで行くと、いっそ滑稽だな!」

 挑発するように言い返す男にも動じず、アリーナが返す。

「貴様のような小物が、知っている訳も無いか。やはり、時間の無駄だった」

 怒りに顔を紅潮させ、玉座の男が立ち上がる。

「……私を、愚弄するな!最早、デスピサロ様も……、いや、デスピサロの奴も、私には及ばないのだ!愚かでひ弱な人間如きが、大きな口を叩いたことを、あの世で後悔するが良い!!」

 大仰に腕を広げ、(なにがし)かの動作に入ろうとするのを待たず、アリーナが間合いを詰め顔面を強打し、その勢いで玉座から吹き飛ばす。

「無駄なことはせず、始めからこうすれば良かった。……楽に死ねると思うな」

 吹き飛ばされた男が、よろよろと立ち上がる。

 アリーナが呟く。

「小物の割には、無駄に頑丈だな」

 男が苛立ちも露に叫ぶ。

「くっ……!これだから、愚か者は困る!この偉大に進化した身体を、冥土の土産に見せてやろうという、慈悲がわからぬと見える!」

 皆まで聞かず、アリーナが再び間合いを詰める。
 男は慌てて変身の動作に入るが、間に合わず再び殴り飛ばされる。

 殴られながらもなんとか変身の手順を完遂した男が、さらに連撃を浴びながら、人外のものに姿を変えていく。

 変身を終えた男が、攻撃を受けながらも大きく息を吸い込み、身構える。

「アリーナ!下がって!」

 ライアンと少女の剣技、マーニャの魔法の力技で道を切り(ひら)き、突き進んで追い
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