第三章 家路へ
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る。そんな並木を見ながらデイビットは家路に去年買った車を急がせた。
「買ったばかりの頃はこれでローザとよくドライブに行ったっけ。」
イギリス風のお洒落な庭園に動物園、それにちょっとそこのカフェまで、必要以上に二人でドライブしていた時期もあった。思えばあのころがお互い一番熱かったように思える。毎晩のように体を重ね、彼女はデイビットの体重を一身に受けても文句の一つも言わなかった。今ではもっぱら出勤用になってしまった車がデイビットの体重を支えて唸りをあげている。もう少し痩せればコイツの燃費よくなるのだろうか、今やデイビットのお小遣いの大半は車の維持費や日々のつまみ食い、それに妻のローザに内緒で部屋の戸棚の一番奥に隠してあるポルノ雑誌だ。まえに彼女が近所の友達と旅行に行くからとパスポートを探すために戸棚をあさっているのを見つけた時、彼は戦慄し冷や汗をかきながら止めたものだった。もう久しくローザと二人で外出していないな-----------------だがきっと私が誘えばローザはまた来てくれるだろう。そんなことを考えながら、家のガレージに車をつけた。
慣れた手つきでキーをはずし、するりと車を降りたデイビットは、誘い文句をブツブツつぶやきながらドアをノックした。
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