暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第七十七話 安らかな夢
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しないの。
 たまにはそんな時もあるだけだから」

 遠坂の言葉に、まあ、いいかと内心で納得させつつセイバーと向かい合う。

「それでは始めましょうか、シロウ」
「ああ、よろしく頼む」

 静かに足を肩幅に広げ、いつもの構えをとる。
 セイバーも正眼で剣を構える。

「いくぞ」
「いつでも」

 俺の本来の戦い方であれば、受けに回るがたまにはという事で踏み込む。

 だけど

「っ!」

 想定外な事が起きた。
 一歩でのいつも通りの踏み込み。
 だけどそれが違った。

 明らかな踏み込み過ぎだ。
 間合いが近過ぎて剣を振るうどころではなく、自らセイバーの剣に刺されに行くような踏み込み。

 間合いを詰める途中で無理やり体を捩じり、軌道を変えながらセイバーの剣を逸らして間合いをあける。

「どうしたのですか、シロウ。
 今のは踏み込みというよりまるで自ら刺されに来るような突撃でしたが」
「すまない。いつも通りに踏み込んだつもりなんだが」

 構え直して何度かセイバーと剣を交えるが、おかしい。

 間合いが、足の動かし方が、あらゆるところが食い違う。
 繰り返し剣を交えるが、いつも通りやろうとすればするほどずれていくような、そんな感じだ。

「シロウ、ここまでにしましょう。
 今の貴方はどう考えてもおかしい」
「ああ、俺もそう思う」

 何だろう、この違和感。
 まるで自分の身体ではない様なそんな感じだ。

「シェロらしくないとは思っておりましたが、やはり本調子ではなかったのですね」
「そういう事なら仕方ないか。
 桜、手伝いなさい」
「はい。姉さん」
「遠坂、桜、一体」
「本調子じゃない奴はゆっくりしときなさい」
「そうです。私達に任せて先輩はゆっくりしていてください」

 遠坂と桜は厨房に向かっていくのを見送る。
 そうなるとのんびり待つしかする事が無いけどいいのかな。

「シロウ、のんびりしておれ」
「そうだよ、シロウ。
 リンとサクラの料理が出来るまでのんびりしよう」

 イリヤに手を引かれてリビングに向かう。
 まあ、たまにはこんな日もあるという事かな。

 そのあと遠坂と桜の作ってくれた夕食を楽しんで解散となった後、俺は休む事になったが、俺は一人中庭に居た。

 投影した干将・莫耶を握る。

 やはりナニカが違う。

 ずっとセイバーとの鍛錬の時からまとわりつく体の違和感。
 そして、何か大切な事を忘れているような喪失感。

「ホント、シロウはしょうがないな」

 闇の中から現れる白い髪に赤い瞳。
 いつもとは違う、たまに二人きりの時だけに見せる姉の顔をしたイリヤがそこに居た。
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