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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第20話 「ああ。すまん、伝えるの忘れていた」
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んなものは、ただのでまかせだ」

 それが虚言であることは……彼の顔を見ればわかる。
 左慈とて内心では彼を……北郷盾二を認めているのだ。
 だからこそ……彼を利用するのに戸惑っている。

「彼を利用すれば……間違いなく彼は、私達に敵対するでしょうね」
「……そうだろうな。俺達はあいつの肉親……まさにもう一人の自分を殺すために利用されるのだから」

 私も左慈も。
 彼……北郷盾二が気に入り始めている。
 だが、それゆえに……心が痛い。
 彼の封印を解き、彼自身に……北郷一刀を殺させるために。

「…………」
「…………」

 互いに無言だった。
 だが……どちらともなく目を合わせる。
 その眼は……覚悟を決めていた。

「……恨まれるのは、慣れている」
「……そうですね。私達は……『悪役』ですから」

 私と左慈は寂しく笑う。
 力を半分封印され、役割も限定された今の我々ができる唯一の事。
 そして……北郷一刀を殺せるという、唯一の機会。

 ……彼を殺しても、すでに北郷一刀の存在は無数の世界に存在している。
 一人殺したところで、多元世界には全く影響がない。

 だがそれでも。
 それでも、同じように分かたれた『于吉』と『左慈』という存在の全てが抱える、北郷一刀への恨み。
 それを晴らす世界が、ひとつぐらいあってもいいではないか。

「……せめてあいつの封印が、完全に解かれるまでは」
「ええ、わかっています。ちゃんと協力しますよ」

 それすらも……ただの身勝手な贖罪だとわかっている。

 許してほしいとは言わない。
 わかってくれとも言えない。

 ただ、それが今の……『于吉』と『左慈』の存在理由なのだと。

 言うことなどできもしないが……彼には知っていて欲しかった。

 例え……それすら、傲慢だったとしても……

 彼には……知っていて、欲しかった。
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