崑崙の章
第20話 「ああ。すまん、伝えるの忘れていた」
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です。ですが……」
「……できたのか?」
「ええ。この世界に来た時、彼の封印は半分解かれています。それが完全に解かれると……力を制御できず暴走するか、それとも精神崩壊を起こすか……」
「あいつは『リマインドコントロール』されているのだろう?」
「ええ……深層心理に強固に植え付けられた命令があります。ですがそれを封印した魔術……かなり高度なものですよ。おそらくは伝説級の魔術師が向こうの世界にいたのでしょう」
魔術術式的には、西洋……特に、イギリス辺りの西洋術式に似ていた。
紡がれた魔術式は、恐ろしく高度なものだったため、完全には崩壊させることが出来なかった。
「その封印が解かれでもしたら……あのオカマでも止められない、そういうことか」
「そうなります。ですが、それ以上に彼の『殺戮機械とは別の潜在能力』……その力が、暴走と同時に発動したら……私達の計画は完遂するかもしれませんが、この世界自体が壊れかねません」
「まさに諸刃の剣……か。やはり危険ではないのか?」
左慈の心配はもっともと言える。
私も正直、迷ってはいる。
彼に会うまでは、そんなことは考えもしなかったが……
「もともと、彼の存在がイレギュラーなのです。ですが……だからこその綻びともいえます」
「北郷一刀より分かたれた、北郷一刀の分身体であり、別個体……クローンのような存在。だが、奴は北郷一刀ではない」
「はい……我々保守派の管理者にとっては、まさしく理想とも思える介入者。力を持ち、その力の正しい使い道を知り、なおかつ力に溺れずに、正史を重視する……彼とならば、我々は共に手を携えることもできるでしょう」
「だが……それでもやるのか?」
左慈に言葉に、私は沈黙する。
正直に言えば……やりたくない気持ちが大きい。
だが……
「……今回の計画は、数ある多元世界の中で我々の存在が許された世界で、初めて実行可能となった計画です。ここでやらなければ……私達の恨みを晴らす場所は、もうないかもしれませんよ?」
そう……
我々は半分封印された状態となり、数ある多元世界において、その関与を禁じられた。
その関与が唯一許された、ほころびのある世界……
ここでしか、あの時北郷一刀によって覆された、我々の恨みを。
『只の人間に仙人である我々が敗れた』という、汚名を濯ぐことのできる千載一遇の機会は。
これを逃したら……永遠にないのかもしれない。
「本来の目的である、北郷一刀の抹殺は……あのオカマのせいで手が出ません。だからこそ……この手しかないのです」
「………………」
「貴方こそ迷っているんじゃないですか? 先ほどの言葉、『次に来るときは』などと……あの言葉は、もしかして」
「…………あ
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