崑崙の章
第20話 「ああ。すまん、伝えるの忘れていた」
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置でもあれば、超野菜人にもなれそうだ」
「なんだそれは……まあ、俺もいい稽古になるからな。お前の攻撃方法はカウンターが主体だったが、ここ数日でだいぶ柔軟になってきたな」
「正直言えば、この世界にきてから鈍っていた上に、AMスーツの力を借りた力技でこなしてきたからな……純粋な修行なんて、ホント一年ぶりだったよ。密度の濃い内容で助かっているさ」
なにしろ寝る間も惜しんで修行につきあってもらっている。
不老長寿の水のお陰か、腹も空かない。
一日二十時間ほど、全てが修行時間だった。
「さて、次はどうする? いつものようにそのスーツなしでの岩石持ち上げの行にするか?」
「ああ。今日こそはあの動かない岩を持ち上げてみせるぜ」
「すでに二百キロは超えているからな。あれの次はいよいよ三百いくか?」
「それ、オリンピックレベルじゃねぇか……」
俺がぐるぐると腕を回して移動しようとすると……
「左慈、盾二さん、やっていますねぇ」
広間へと階段を登ってくる人影。
于吉だった。
「ああ。于吉か……あんたもちょくちょくいなくなるな。もしかして外で何か悪巧みしているのか?」
「ひどいいわれようですね……まあ、間違ってはいませんが。例によって例のごとく、ですよ。正史にまつわる事件の下準備ってやつです」
「ああ……まあしょうがないとはいえ、気が滅入るな。宦官も何進も助ける気はないけど」
「おや……珍しいですね、あなたがそんなことをいうのは」
そうか?
だって、宦官も何進も、とんでもない悪党じゃねぇか。
洛陽の宮廷のみが世界と思って、民を飢えさせた上に反乱起こした黄巾を皆殺しと命令するような奴らだぜ?
「まあ、賄賂の悪癖を生み出した宦官も、皇后の兄というだけで権力のある立場についた癖に自分の力を誇示するだけで、何一つ変えられなかった何進も同罪だ。力ある立場の者が無力なのは罪だ。無為に居続けるぐらいなら投げ出すべきなんだ」
「おやおや……随分過激ですね。まあ、嫌いじゃない考え方ではありますが」
「まあね。自分でも極論で言っているとは思っているよ。でも、その結果がこの時代の現状なら、同情する気にはなれないな」
そのために苦しむのが、底辺の人間。
その理不尽さを知る以上、力あるものの無能さは唾棄すべきだと思う。
まあ、力が全てだと思うと選民思想にハマるからな……その辺、気をつけなきゃならんけど。
変わらぬ優しさと信念を持った上で、君臨し統治する。
そういう力と想い、双方揃う人物でなければ人の上には立てない、立ってはいけない。
それが揃わぬ人物が上に立つから……二千年たっても、人類から戦争や紛争がなくならないのも事実だが。
(だからこそ……その理想を体現できるであ
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