第11話「迷子」
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抱きかかえてやったのだった。
「うひゃ〜〜〜」
今の見た、ネギ君? と木乃香が尋ねるが、ネギは感動に打ち震えてそれ所ではなかった。
「かっこいいです!!」
その潤んだ瞳に浮かぶ涙はまさに感涙に近いのかもしれない。
「今の見ましたか? 何かの拳法かなぁ、単に突き飛ばしただけにしか見えなかったのにあんなに人を吹き飛ばせるなんて! しかもですよ! 怒ったのってあの女の子の飴を守ってあげるためにですよね! タケルさん、水をかけられても怒るどころか土下座までして謝ってたのに! かっこいい!かっこよすぎます!!」
と、一息に吐き出したネギは今にもタケルのところに駆け寄って行かんばかりに興奮している。木乃香がのんびりと「あの女の子だれやろうね〜」と首を傾げてみせる。
それでもネギが一人でなにやら感動しているので話しかけるのを諦めて、特に意味もなく周囲を見渡した。
すると、僅か数Mくらいだろうか。近くからネギと同じように騒いでいる3人を見つけた。
「あれ、みんなそんな所でどうしたん〜?」
「「「ゲ!?」」」
しまった、と気まずそうな顔をしたのは当然、チア3人組の柿崎、釘宮、椎名である。
「う……うん、あ、あた……あたし達別に木乃香をつけてたとかじゃなくて」
「そ、そうそう! ほら、タケルさん見かけたからちょっと気になっちゃって、ね!?」
「う、うん、そそそそうそう!!」
胡散臭さ爆発だが、木乃香は当然、疑ったりはしない。「あ、やっぱり?」と頷いて見せた。
「実はウチたちもそうやねん、な、ネギ君?」
振り返り、ピシリと固まった。
「かっこいいなぁ、僕もああなりたいなぁ……あ、でもお父さんのほうがかっこいいかな、でもでもやっぱりタケルさんも」
完全に一人トリップしているネギがいた。
とりあえず、ネギを回復させるのが彼女達の急務だった。
いつの間にやらグッスリと寝込んでいるマユを背におぶり、交番を探し歩く。
太陽が半分ほど顔を出し、色を赤く染め上げる。気付けば陽がくれようとしていた。
「……まずい」
――このままでは誘拐犯扱いになる。
どうするか、と近場にあった階段に座り込んだ時だった。「マユちゃ〜〜ん。お願い返事してーーー!」正に奇跡の声がタケルの耳に届いた。
「こっちですー! こっちにいますよ!!」
と言っても少し遠かったらしく、まだ100M以上はある。タケルはいてもたってもいられずに、一息で100Mの距離を潰してお母さんらしき人に近寄る。
「この子ですか?」
背中でぐっすりと眠っている少女に、お母さんが泣きそうな顔で「ああ、マユ」と抱きかかえる。
「本当
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